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PEG困難症例に安全に造設する工夫(CT下PEG)

当院で行っているより安全にPEGを造設する工夫をご紹介します。

一般的に、胃の手術後や体型的にPEG困難(胃の前に肝臓や大腸があって穿刺が困難)な患者に対して、当院ではdirectPEJ(経皮内視鏡的腸瘻造設術)やPTEG(経皮食道胃管挿入術)を行っています。特に、2011年4月よりPTEGの保健適応が再開され、緩和ケアなどへの適応も増加することと思います。

当院で行っているCTを用いたPEGは、上記のような患者にも安全に施行できる可能性のある手技と考えています。

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この患者は、胃の前に肝臓と大腸が覆っていて、PEGは非常に困難と判断され、NSTに紹介になりました。

このようにCTで穿刺位置を確認しても、最初の2回は大腸、小腸を穿刺しそうになっています。ブラインドでPEGを行うことはこのような危険があります。

3回目で無事に胃を穿刺できて、PEGが完成しました。その後も順調に退院されました。

2例目は、長期の寝たきり状態による胃の変形で、安全な穿刺が困難として、CT下PEGを施行しました。

PEG施行後も順調に退院され、在宅で管理となりましたが、在宅スタッフとご家族のご努力で長期生存されています。

高齢者PEG造設の問題点

近年、NST活動や栄養ケアマネジメントの導入によって、高齢者の栄養管理としてのPEG造設の適応が増加し、地域連携パスの作成などの試みが行われている。しかし、欧米では、認知症や高齢者の栄養法として経管栄養やPEGの見直しのレビューが報告されており、本邦でも同様な患者のPEGの安全性が議論されている。今回われわれは、PEGパス試行時に経験したPEG造設が問題となった2症例を報告する。

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症例 1: 90歳代 女性

【主訴】  嚥下困難、誤嚥性肺炎 

【既往歴】 1997年 脳梗塞にて左片麻痺、高次脳機能障害

【現病歴】 脳梗塞後遺症にて2000年より老人施設入所中であったが、

  1年前より嚥下困難となり、誤嚥性肺炎をくり返す。2006年3月中

  旬に誤嚥から窒息があり、同年4月上旬にPEG造設目的にて当院

  紹介入院。

【入院時現症】 血圧134/85mmHg、脈拍86/分、体温36.5℃

     体重29.2kg、身長135cm、BMI 16.0

     TSF 4mm (5~10%)、AMC 13.8cm (5%↓)

     Alb 2.6g/dl、総リンパ球数 1829/μl 

  Performance Status 4    入院時栄養評価 中等度栄養不良

 

 

症例 2: 70歳代 男性

【主訴】  嚥下困難、誤嚥性肺炎 

【既往歴】 2002年 脳梗塞にて左片麻痺、高次脳機能障害

      頭蓋咽頭腫手術、心筋梗塞、胃潰瘍、甲状腺機能低下症

【現病歴】 脳梗塞後遺症にて2003年より療養型病床入院中であった 

  が、2ヶ月前から食事摂取量が低下し、嚥下障害が増悪してきたと

  して、2006年3月中旬にPEG造設目的にて当院紹介入院。

【入院時現症】 血圧130/60mmHg、脈拍68/分、体温35.5℃

     体重49.4kg、身長170cm、BMI 17.1

     TSF 5mm (5%↓)、AMC 18.9cm (10~25%)

     Alb 3.1g/dl総リンパ球数 2581/μl 

  Performance Status 4     入院時栄養評価 中等度栄養不良

これら2症例における問題点:

1. PEG造設および管理が簡便との誤解

2. PEG造設にて栄養状態が改善して、予後も改善するとの認識

3. 転院や処置に伴う患者本人の精神的・肉体的ストレス

4. PEGの適応とアフターケアに関する施設間格差

5. 患者本人や家族の希望が反映されにくい地域連携

転院による環境変化への高齢者の適応力低下

<高齢者の身体的要因>

 ・ 意志表示が困難

 ・ 症状がはっきりしない、またはほとんどない

 ・ 検査所見にもあらわれにくい

 ・ ストレスに対する予備力がない

<環境因子>

 ・ ほとんどが本人の意向を確認できない

 ・ 病院間の申し送りなどの連携不十分

 ・ 明らかに苦痛な検査が増加する

 ・ 地域連携パス

*過去の国内の報告でも、必ずしもPEGの造設に伴う合併症や、造設後の短期予後も良好とは言えません。

*海外でも、必ずしも日本と同じ環境ではありませんが、造設後の予後あまりよくないようです。

*患者さんに必要なPEGが本来の適応で、医療者や転院のために必要なPEGというのは当院ではお勧めしていません。基本的には、家族および施設、介護スタッフと十分に話し合って、PEGの適応を決定しています。

PEG-J(経胃瘻的空腸チューブ)の簡便な挿入法

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今回、当院で行っているPEGからPEG-Jへの簡便なチューブ挿入法をご紹介します。

使用するのは、以下のBARDのジェジュナールカテーテル(OTG)タイプとテルモ社製ラジフォーカスガイドワイヤー(親水性ポリマーコーティング、アングル、0.035)です。

まず、造影下に行う方法です。PEGまたは入れ替えならPEG-Jより造影剤を逆流しないようにゆっくり少量注入し、胃幽門部-十二指腸-空腸までのルートを確認します。PEGより、ガイドワイヤーをアングルを駆使して空腸起始部まで挿入します。穿孔の危険があるので決して無理をせず、十分にガイドワイヤー操作になれた医師が行いましょう。ポイントは、PEGの出口がまっすぐではないので少しコツがいるのと、やはり幽門輪を超えるのが難しいことがあります。どうしても幽門方向にガイドワイヤーが向かないときは、PEGがチューブタイプなら、チューブ自体を幽門方向にむけたり、ストッパーをゆるめて一時的に挿入することで容易になります。あとは、ガイドワイヤーを空腸起始部を十分に超えるとこまで挿入し、そのガイドワイヤーに沿って空腸チューブを留置するだけです。ただし、十二指腸3部と胃内でたわむことがあるので気をつけましょう。念のため、PEG-Jチューブから造影して確認しておきましょう。

次に、何度も交換していたり、少しの造影剤でも逆流してしまう症例には、空気透視またはガイドワイヤーの手ごたえ、X線上の位置のみでも挿入可能です。最後の確認でも空気注入で可能です。

長期留置型PEGチューブの使用経験

長期留置型ポリウレタン製PEGカテーテルの在宅経腸栄養患者における有用性

【はじめに】

PEGの適応においては、造設時の合併症だけでなく、カテーテル交換に伴う合併症やその方法、時期なども問題となる。特に、継続的に在宅治療を施行している患者・家族においては、できる限り同じ医療環境を希望して、定期的入院を希望しない場合もある。当院では、長期間留置が可能とされるポリウレタン製カテーテル(フレンタEDカテーテル®)を在宅患者に使用して良好な成績を認めているので報告する。

【当院の使用経験】

当院では、フレンタEDカテーテル®の適応を表1として、患者・家族と相談して決定している。


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2007年より長期留置の同意を得られた16例(初回造設10例、交換6例)に対し、再造設3回を含めてフレンタEDカテーテル®を用いたPEGを19回施行した。対象16例は平均年齢77.8歳で、基礎疾患は表2に示す通りで、10例のうち6例は全身状態が不良などの理由でPEG困難としてNSTに紹介となった症例であった。


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症例全体の1年生存率53.0%、2年生存率44.2%であった。平均留置期間は912.2日(31~1051日、中央値403.8日)で、194日目と756日目に先端部の自然脱落を認めたが、1-2年留置率は90.0%であった(Kaplan-Meier法、2010年4月現在)(図1)。


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在宅担当医の希望にて2年目(842日目)に交換したカテーテルは、栄養剤による色素沈着は認めるものの開存・形状維持ともに問題なかった(図2)。


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【症例】

患者は70歳代の女性で、60歳代でアルツハイマー病を発症して徐々に寝たきりとなり、3年前より誤嚥性肺炎にて入退院を繰り返していた。2004年に当院へ在宅管理目的にて紹介され、2006年にPEG施行を勧められたが、拡張した大腸が胃の前面を覆う形でPEG困難としてNSTに紹介となり、CTガイド下にPEG施行した(図3)。


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6ヵ月後の1回目の定期交換にあたり、在宅での継続医療を希望され、2007年5月にフレンタEDカテーテル®に交換した。2007年11月には喀痰排出困難から窒息をきたし、気管切開+在宅人工呼吸管理を継続している。銅欠乏の予防と脳機能改善目的にココアを毎日投与しているため、カテーテルの色素沈着はあるが、2010年4月現在1051日と最長留置期間更新中である(図4)。


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【当院の使用経験でわかったこと】

① ポリウレタン製胃瘻カテーテルは長期留置が可能であるが、丁寧かつ慎重なカテーテル管理が必要である。特に、細菌・真菌(カビ)などへの対策を行わないと、比較的早期にカテーテルの劣化や脱落の可能性が高くなる。酢水や水分ゼリーによるカテーテル・クランプは有用な可能性がある。

② 通常の経腸栄養剤の投与と管理を行っている限り、閉塞を起こすことはない。

③ 当院の経験では2年留置には問題ないが、最低1年に1回はX線にてカテーテル形態の確認を行った方がよい。

④ カテーテル先端の逸脱を認めた場合には、胃内に確認できれば回収と再造設を同時に行うことが可能である。また、十二指腸より肛門側まで進んでしまった場合でも、再造設を施行した後に自然排泄を待つことで対応できる。

【まとめ】

フレンタEDカテーテル®はカテーテル素材にポリウレタンを使用しているため、その耐久性と開存性の高さから平均留置期間も長いとされている(平均916日)。今回のわれわれの経験から、カテーテル劣化や閉塞の原因となりうる細菌・真菌対策を十分に行い、慎重に取り扱うことで本邦でも同様の成績が得られる可能性があることがわかった。さらに、当院の成績で2年間の留置率が約90%で、胃瘻患者の2年生存率が今回約50%であったことを考えると、多くの患者が3~4回の交換のリスクを軽減できる可能性がある。今回のわれわれの症例は、原疾患および誤嚥性肺炎、蘇生後脳症の治療については議論があるところだが、フレンタEDカテーテル®による在宅経腸栄養が家族やスタッフの在宅治療継続の希望と予後に貢献する可能性を示唆した。

フレンタEDカテーテル®のお問い合わせは、(株)フレゼニウス・カビの担当者までお願いします。

簡易懸濁法のKnack&Pitfalls

症例検討

「簡易懸濁法がうまくいかない、何故?」

症例

フィーディングチューブの患者に簡易懸濁法を行って、つまってしまったのは何故ですか?

6時にRp.1~4を電気ポットからの熱湯30mLで懸濁し、病棟の他の患者さんの検温に向かった。

7時にエンシュアⓇの投与があるため、6時50分に溶解液を確認。1錠溶解されていないものがあったため、乳棒で叩いて細かく砕いた。

その後、エンシュア・リキッドⓇの中に薬剤が懸濁された溶液も一緒に入れて投与を開始。

30分後、アラームが鳴り、フィーディングチューブが閉塞してしまったことが発覚。

Rp.1 タケプロン(ランソプラソール)OD15mgⓇ錠 1錠/朝食後

Rp.2 ノルバスク(ベシル酸アムロジピン)2.5mgⓇ錠 2錠/朝食後

Rp.3 酸化マグネシウムⓇ 3g/毎食後

Rp.4 セレキノン(マレイン酸トリメプチン)Ⓡ錠 3錠/毎食後

Rp.5  エンシュアリキッドⓇ 6缶/7時、13時、19時

Q1 投与内容…簡易懸濁法に適した薬剤?

<簡易懸濁法不適薬剤>

1.徐放剤

2.腸溶剤

3.不溶性薬剤‥酸化マグネシウム®→マグミット®錠に変更すれば粒子径が小さいため投与可能

4.難溶性薬剤‥セレキノン®→溶けないため粉砕投与する必要がある。

5.成分不安定薬剤

6. タケプロンOD ®錠→マグロゴール6000を含有する。マグロゴール6000は56~61℃で凝固してしまうため温度が高くなりすぎるとチューブに入る前に固まってしまうため凝固の原因となってしまう。

水で溶解すること。


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Q2 懸濁法に問題がない?

溶解温度は55℃が推奨されている。高温になると薬剤の安定性の面で問題となる。


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Q3 投与のタイミングは?


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Q4 カテーテルや器具の工夫は?


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簡易懸濁法とは、「薬剤を経管投与する際に、錠剤を粉砕するのではなく、55℃の微温湯で10分間崩壊・懸濁させて投与する」という画期的方法である。名古屋記念病院では、2005年に簡易懸濁法を導入して5年が経過し、その経験から以下のように簡易懸濁法の利点・欠点がまとめられる。

【利点】

・ 調剤時間の短縮と調剤業務の合理化、コスト削減

・ 粉砕しないことによるロスの解消と安定性の維持

・ 医療従事者や家族などの暴露の軽減

・ 医療従事者や家族が薬剤内容の確認が可能で、リスクマネジメントにつながる

・ 経管栄養チューブの閉塞の回避、より細径チューブの使用が可能

・ 経管投与可能薬品の増加 (錠剤・カプセル剤全1,003薬品中 粉砕法:694薬品(69%) 簡易懸濁法:850薬品(85%))

・ 中止・変更が容易で確実、一包化も簡便

【欠点】

・ 薬剤の安定性や配合変化などの情報不足

・ 適切な薬品選択

・ 看護師の業務量増加

・   微温湯の準備、必要物品の増加

これらの利点・欠点を十分理解した上での施行が望まれるが、ほとんどの行程を看護師が行うことから、担当薬剤師として日頃から良好なコミュニケーションをこころがけ、少しの疑問にも答える、または簡易なマニュアルがすぐに参照できる体制が重要である。


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半固形化栄養マニュアル公開

<半固形化栄養マニュアル>   2008.11.13     胃瘻グループ

半固形化栄養の適応:

<絶対的適応>

胃食道逆流、誤嚥性肺炎患者

胃瘻瘻孔周囲よりの漏れ

難治性下痢(感染などを除く)

ダンピング症候群、食後高血糖の予防

<相対的適応>

リハビリ時間の確保

介護者の時間的拘束の軽減

患者本人の希望

* 在宅や施設に転院しても継続可能な方に限ります。


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半固形栄養の栄養投与ルート:

胃瘻(PEG)できればチューブ型

* 経鼻胃管の場合は、NSTにて適応を検討・・・10~12Frのカテーテル使用のみ

半固形化栄養剤(食品):

PGソフト 200g 300kcal  水分66% 粘度20000mPa(PEGのみ)

PGウオーター 250g    粘度3860mPa

* 作る手間がない

入れ替えがなく、直接チューブに接続できるので、感染の心配がない

PGウオーターのチューブクランプは閉塞予防、感染予防に有効

とろみ剤: 現在も使用中・・・加熱いらず、簡単さーっと溶解

トロミパーフェクト

例)食品:

F2α200ml+トロミパーフェクト6g

薬品:

エンシュアリキッド250ml+トロミパーフェクト10g

粘度11000mPa

トロミパーフェクト5g+水100ml   粘度約5000mPa

* 安い

粘度の調節が可能

チューブに接続する専用バッグがない、シリンジにて投与

感染の可能性がある、保存は冷蔵で24時間以内

A:逆流のある患者は、水分も半固形化して投与することを推奨する

1) 患者の体位を整える。

30度ギャッジアップし、背中に枕をあてて右向きに傾けて寝かせる。

(胃の向きに合わせて消化吸収をよくするため)

2) 胃内容物を吸引し、食物残渣の有無を調べる。

同時に胃内のガス抜きを行う(胃瘻チューブをしばらく解放する)。

3) 内服薬の簡易懸濁法を注入する。

4) 加圧バッグ300mmHgで、半固形栄養材を300ml 10~15分で注入する。

5) 全量注入後、引き続き水分ゼリーを同様に注入し、最後は充填する。

6) 終了後は患者の状態に気をつけるが、基本的にはギャッジアップは不要。

B:水分をそのまま投与

1) 患者の体位を整える。

30度ギャッジアップし、背中に枕をあてて右向きに傾けて寝かせる。

(胃の向きに合わせて消化吸収をよくするため)

2) まず胃内容物を吸引して、食物残渣の有無を調べる。

同時に胃内のガス抜きを行う(胃瘻チューブをしばらく解放する)。

3) 内服薬の簡易懸濁法を注入する。

4)    必要なら水分を100~200mlを30分以内で投与する。

5)    胃内容物を再度吸引して水分の残存状態を確認。40ml以上水分がひけてくるときは、さらに30分待つ。

6) 半固形栄養材を300ml 10~15分で注入する。

7) 全量注入後、引き続き水20mlでチューブを洗浄して、水分20ml追加充填する。

8)    終了後は、30分間以上同じ体位を維持させる。

1日1000kcal1000ml必要な場合の処方例:

① PGソフト® 200g 4パック 800g    1200kcal

PGウオーター 1パック250g水分243ml

② F2α200ml+トロミパーフェクト6g×5

PGウオーター 1パック250g

③ エンシュアリキッド250ml+トロミパーフェクト10g×4

PGウオーター 1パック250g