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認知症の栄養療法のエビデンス(ESPEN guidelines on nutrition in dementia 2015)(2016年4月29日公開)

◇認知症の栄養療法のエビデンス(ESPEN guidelines on nutrition in dementia 2015)

スクリーニング&アセスメント

1) 全ての認知症患者に栄養スクリーニングを施行すること。栄養不良を認めたら、栄養アセスメントを行い、適切な栄養療法を開始すること(とても低いエビデンス、強い推奨)

・ 認知症の診断時にスクリーニングを行うこと

・ 3-6ヶ月ごとにスクリーニングは行うこと

・ スクリーニングとしては、MNA-SFを推奨する

・ 適切な栄養評価ツールを用いる

The Aversive Feeding Behavior Inventory(AFBI、Blandford scale)

The Edinburgh Feeding Evaluation in Dementia Questionnaire(EdFED-Q)

The Eating Behavior Scale (EBS)

2) 頻回の体重の測定と記録を勧める(とても低いエビデンス、強い推奨)

・ エビデンスはないが、少なくとも3ヵ月ごとの測定と記録

経口摂取サポートの戦略

3) 楽しく、アットホームな雰囲気での食事の提供をすすめる(中等度のエビデンス、強い推奨)

・ 家での食事と同じ形態で摂取することで、食事量がアップし、栄養も改善する

・ 照明の工夫や音楽、みやすいテーブルクロスなどの視覚的アプローチも有効。

4) 個人の好みに応じた適切な食事の提供を勧める(とても低いエビデンス、強い推奨)

・ 認知症患者の特徴的栄養不良パターンや推奨する総エネルギー量や栄養構成はない。

5) 食事を食べる気にさせ、そのサポートを行うことを勧める(とても低いエビデンス、強い推奨)

・ 買い物から介入、食事時間にテーブルにつかせるなど。

・ 摂食介助や嚥下食の工夫など

6) 食欲増進薬物の使用は推奨しない(とても低いエビデンス、強い推奨)

・ 大麻やホルモン剤の使用は推奨されない

7) 介護者への認知症患者の栄養に関する基礎的問題やその介入法を教育すること(低いエビデンス、強い推奨)

8) 栄養不良の原因をできる限り排除すること(とても低いエビデンス、強い推奨)

・ 口腔ケア、歯科治療、嚥下訓練、基礎疾患、薬の副作用に注意

9) 食事制限はさける(とても低いエビデンス、強い推奨)

・ 腎不全など以外は、過度の減塩食、糖質制限、脂質制限は、高齢者、とくに認知症の栄養不良の原因となる。

経口サプリメント

 栄養素の欠乏に起因する認知症は、常にチェックして補充すること

10a) 認知機能低下の治療および進行予防目的でのω3系脂肪酸投与は推奨しない(高いエビデンス、強い推奨)

ただし、軽度認知機能障害には、有効な可能性はある。

10b) ビタミンB1欠乏のない認知症患者に、ビタミンB1投与は推奨しない(とても低いエビデンス、強い推奨)

10c) 欠乏症のない認知症患者に、ビタミンB6、B12、葉酸の投与は推奨しない(低いエビデンス、強い推奨)

10d) 欠乏症のない認知症患者に、ビタミンEの投与は推奨しない(中等度のエビデンス、強い推奨)

10e) 欠乏症のない認知症患者に、セレンの投与は推奨しない(とても低いエビデンス、強い推奨)

10f) 欠乏症のない認知症患者に、銅の投与は推奨しない(とても低いエビデンス、強い推奨)

10g) 欠乏症のない認知症患者に、ビタミンDの投与は推奨しない(とても低いエビデンス、強い推奨)

経口栄養剤(ONS)

11) 栄養状態改善のために経口栄養剤の使用を推奨する(高いエビデンス、強い推奨)

12) 認知症の治療または悪化予防のための経口栄養剤の使用は推奨しない(中等度のエビデンス、強い推奨)

13) 同様に特別食の認知症患者への使用も推奨しない(低いエビデンス、強い推奨)

ただし、副作用は最小限なので、個別の対応は議論の余地がある。

14) その他の栄養素も認知症患者には推奨しない(とても低いエビデンス、強い推奨)

人工栄養および水分補給

15) 認知症患者への人口栄養および水分補給は、個別の予後や選択に基づいて決定する(とても低いエビデンス、強い推奨)

16) 回復可能な限定的要因で合併している経口摂取不良に対して、軽度・中等度の認知症患者には期間限定の経管栄養は推奨される(とても低いエビデンス、弱い推奨)

17) 高度認知症患者には経管栄養を推奨しない(高いエビデンス、強い推奨)

18) 経管栄養の必要な軽度・中等度認知症患者で、経管栄養が禁忌または耐えられない場合には、静脈栄養も提案される(とても低いエビデンス、弱い推奨)

19) 水分摂取不良の認知症患者には、危機的状況を克服するための静脈栄養は提案される(とても低いエビデンス、弱い推奨)

20) 末期患者には、いかなる強制栄養も推奨されない(とても低いエビデンス、強い推奨)