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2011.11.22栄養学習会(糖尿病薬)

~糖尿病薬~

経口薬を分類すると5つに大きく分けられる。

 ①インスリン分泌促進薬

②糖吸収調節薬

③インスリン抵抗性改善薬

④ビグアナイド薬

⑤インクレチン関連薬

①インスリン分泌促進薬

 

☆SU剤(スルホニル尿素薬)…ヘキストラスチノンR(ラスチノン)、オイグルコンR(グリベンクラミド)、

アマリールR(グリメピリド)

  膵β細胞のSU受容体に作用し、インスリン分泌を促進。

  経口糖尿病薬の中で最強。

  インスリン分泌機能が残存していないと効果が得られない。

  肥満がなく、空腹時血糖が上昇している2型DMが適応。

  SU剤はインスリン分泌量を増加させるが、食後血糖の選択的低下は期待できないため、単独でも低血糖の可能性あり。

  長期使用では、膵β細胞が疲弊し、二次無効をきたすことがある。

  禁忌;重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、インスリン依存型糖尿病(若年型糖尿病、ブリットル型糖尿病等)、重篤な肝・腎機能障害、症感染症、手術前後、重篤な外傷[インスリンの適用。]. 下痢、嘔吐等の胃腸障害、妊婦

☆速効型インスリン分泌促進薬…スターシスR(ナテグリニド)、グルファストR(ミチグリニド)

  SU剤と化学構造は全く異なるが、SU剤と似た機序で作用し、食直後のインスリン追加分泌を増やす。

  SU剤に比べ、作用開始が早く、血中から速やかに消失するため、SU剤よりも低血糖をおこしにくい。

 食事10分前の経口投与で、食後高血糖を抑制できる。

⇒必ず食直前に服用。食前30分では低血糖をおこす。

併用注意:

<血糖降下作用を増強>

ワーファリン、NSAIDs、ベネシッド(尿酸排泄促進)、βブロッカー、クラリス、サルファ剤、テトラサイクリン、シプロキサン、クラビット、抗真菌薬、ベザトール

<血糖降下作用を減弱>

アドレナリン、ステロイド、甲状腺ホルモン、利尿剤、抗結核薬、コントミン、アレビアチン

②糖吸収調節薬

☆αグルコシダーゼ阻害薬…グルコバイR(アカルボース)、ベイスンR(ボグリボース)、セイブルR(ミグリトール)

  小腸で二糖類を単糖類に分解する酵素(α-グルコシダーゼ)の活性を低下させ、糖質の分解・吸収を遅らせる。⇒食後の急激な血糖上昇を抑制する。

  単独投与では低血糖を起こす可能性は極めて低い。他剤併用での低血糖にはブドウ糖摂取。

  食直前に内服(食事と混ざり合って効果を発揮するため)。忘れたら食事中でも可。

  副作用に腹部膨満感、放屁、下痢などがある(吸収されなかった糖が大腸菌により分解されガスを発生させるため)。

併用注意:

<血糖降下作用を増強>

βブロッカー、NSAIDs

<血糖降下作用を減弱>

アドレナリン、ステロイド、甲状腺ホルモン、ジゴキシン、ラクツロース

③インスリン抵抗性改善薬

☆チアゾリン誘導体(TZD)…アクトスR(ピオグリダゾン)

  脂肪細胞のインスリン抵抗性惹起する物質を抑制。

  インスリン分泌促進作用はないため、単独投与での低血糖の危険は少ない。

  副作用として、浮腫、貧血、血清LDH、血清CPK上昇が時に認められる。

  水分貯留を示す傾向があり、心不全患者、心不全既往者には使用しない。

  体重増加しやすいので、食事療法を確実に実行することが大切。

  注意;海外で実施した糖尿病患者を対象とした疫学研究において、膀胱癌の発生リスクが増加するおそれがあり、投与期間が長くなるとリスクが増える傾向が認められている。膀胱がん治療中は投与を避けること。また、既往歴に関しては有益投与。「

併用注意:

<血糖降下作用を増強>

βブロッカー、NSAIDs

<血糖降下作用を減弱>

アドレナリン、ステロイド、甲状腺ホルモン、ジゴキシン、ラクツロース、リファンピシン

 

④ビグアナイド薬メデットR・メトグルコR(メトホルミン)

  肝臓での糖新生抑制がメインであるが、小腸からの糖吸収抑制、筋・脂肪組織での取り込み率増加がある。

  単独での低血糖の可能性は極めて低い。

  稀であるが、副作用に乳酸アシドーシスがある。(嫌気性解糖の亢進による。高齢者や肝・腎障害患者は注意要。)

併用注意:

* ヨード剤、ゲンタマイシン→ 乳酸アシドーシスを誘発!!

<血糖降下作用を増強>

蛋白同化ステロイド、βブロッカー、NSAIDs

<血糖降下作用を減弱>

アドレナリン、ステロイド、甲状腺ホルモン、卵胞ホルモン、利尿剤、抗結核薬、ニコチン酸、アレビアチン

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⑤インクレチン関連薬

☆DPP-Ⅳ阻害薬…グラクティブR(シタグリプチンリン)、エクアR(ビルダグリプチン)

  インクレチンを分解する酵素DPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ4)を選択的に阻害し、活性型インクレチン濃度を上昇させる。

  血糖依存的に血糖低下作用を示し、血糖値が低い場合にはインスリンの分泌を促進せず必要以上に血糖を下げない。よって、単独では低血糖を起こしにくい。

  グラクティブは腎排泄(HD患者に禁忌)、エクアは肝代謝である。

  現在、知られているインクレチンは、GLP-1(グルカゴン様ペプチド1)とGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)の2種類。GLP-1は主に小腸の下部から分泌され、膵臓のβ細胞からのインスリンの分泌を促進し、α細胞からのグルカゴンの分泌を抑制する。

  GLP-1は胃から腸へ食べ物が送られるのを抑制し、食後の血糖値を低下させる。さらに、中枢神経系では食欲を抑制することによって体重の増加を抑制する。

☆GLP-1製剤…ビクトーザ注(リラグルチド)、バイエッタ注

  インクレチン製剤。グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進し、またグルカゴン分泌を抑制することで、血糖コントロールを改善する。

  インスリンの代替薬にはならない。

併用注意:

*他の経口糖尿病薬との併用は、重篤な低血糖を合併する可能性あり!

* ジゴキシン → ジゴキシン濃度増加

<血糖降下作用を増強>

βブロッカー、NSAIDs

<血糖降下作用を減弱>

アドレナリン、ステロイド、甲状腺ホルモン

<インスリン製剤について>

インスリン療法は健康な人の血中インスリンパターンを再現することにある。

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ラピッド=Rapid(速効)、 N=neutral protamine hagedorn(中間型インスイン)NP

開始時のインスリン用量は実測体重1kgあたり0.2~0.3単位(8~12単位)とする。所要量は同0.4~0.5単位(20~30単位)まで増量することが多い。

2011.08.30栄養学習会(糖尿病)

糖尿病
・糖尿病は、遺伝因子と環境因子を中心にした多様な原因によるインスリン作用の不足に基づく慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群である。インスリン作用の異常は高血糖のみならず脂肪、蛋白質などさまざまな代謝系に影響を及ぼす。
・発症機序の違いにより大きく分けると、1型糖尿病、2型糖尿病、その他の特定の機序や疾患による糖尿病、妊娠糖尿病の4つに分類される。
・代謝異常の長期間にわたる持続は糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの糖尿病慢性期合併症の起こしやすいため、生活習慣の是正、経口血糖降下薬やインスリン注射により血糖値をある程度下げることによってこのような合併症を引き起こすことを防ぐことが治療目標である。
・日本国内の患者数は、この40年間で約3万人から700万人程度にまで増加しており、境界型糖尿病(糖尿病予備軍)を含めると2000万人に及ぶとも言われる。厚生労働省発表によると、2006年11月時点の調査データから、日本国内で糖尿病の疑いが強い人は推計820万人であった。平成19年の国民健康・栄養調査よると、「糖尿病が強く疑われる人」890万人、「糖尿病可能性を拒否できない人」1320万人を合わせ、全国に2210万人の人が糖尿病予備軍であると推定されている。
分類
1型糖尿病
1型糖尿病は、膵臓でインスリンを分泌しているβ細胞が破壊されインスリンが分泌されず、著しい高血糖となるβ細胞の破壊の原因は自己免疫のしくみによることが多く(自己免疫性)、このタイプの発症早期の患者の血中には膵臓のβ細胞に対する自己抗体〔膵島細胞抗体=ICA〕やその他の自己抗体(インスリン自己抗体、グルタミン酸脱炭酸酵素=GADに対する抗体など)が高率に検出されることが知られ、1型糖尿病の診断の有力なマーカーになっている。1型と思われる症例のなかにも自己免疫の関与が明らかでないままインスリンの絶対的欠乏におちいる場合があり、原因不明(特発性)の1型に分類している
若年発症が多く、口渇、多尿、多飲、体重減少など典型的な症状が急激に現れる。インスリンの分泌が極度に低下するかほとんど分泌されなくなるため、血中の糖が異常に増加し糖尿病性ケトアシドーシスを起こす危険性が高い。そのためインスリン注射などの強力な治療を常に必要とすることがほとんどである。成因的には1型糖尿病考えられる症例でも必ずしも急激な経過をとらず、発症当初は症状も乏しく、食事療法や経口糖尿病薬で治療を受けている場合がある。このようなタイプは緩徐進行型の1型糖尿病と呼ばれている。
2型糖尿病
2型糖尿病は、インスリン分泌低下とインスリン抵抗性の二つを原因となりインスリンの作用不足が起こる。遺伝的因子に、肥満、過食、高脂肪食、運動不足、ストレス、加齢などの環境因子が加わって発症する生活習慣病で、糖尿病全体の9割を占める。食事療法、運動療法を行い、生活習慣の是正することによって肥満が解消できれば高血糖状態も著しく改善することが期待できる。
その他の特定の機序・疾患のよるもの
単一遺伝子異常による糖尿病
インスリン遺伝子やインスリン受容体遺伝子異常などのほか、若年発症で濃厚な家族歴を有し(常染色体優性)、若年発症成人型糖尿病(MODY: maturity-onset type diabetes of the young)と呼ばれるもの(タタソール症候群)やミトコンドリアDNAの異常による糖尿病などが含まれる。ミトコンドリアはエネルギー産生に重要な働きをしている細胞内小器官だが、ミトコンドリアDNAの変異によってインスリン分泌が低下し、糖尿病をきたすことがあきらかになった。このタイプは、母系遺伝すること、難聴(感音性)を伴うことが多いなどの特徴があり、全糖尿病の1%程度にみられるといわれている。
二次性糖尿病
膵外分泌疾患、内分泌疾患、肝疾患、薬剤性などに細分される。内分泌疾患によるものは、末端肥大症、クッシング症候群、褐色細胞腫(しゅ)、甲状腺機能亢進(こうしん)症などに伴うもの。薬剤性によるものは副腎皮質ホルモン薬(プレドニゾロンなど)服用中にみられる糖尿病。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて発症または発見されたさまざまな程度の耐糖能異常と定義される。原因としては、妊娠中に増加するホルモンであるプロラクチンやエストロゲン、プロゲステロンなどがインスリン抵抗性を悪化させることによる。一般には、出産後に改善する。一方、もともと糖尿病患者が妊娠した場合は、糖尿病合併妊娠と呼ばれる。基本的に食事療法が行われるが、改善しない場合、後述の胎児へのリスクもあり、また飲み薬は催奇形性の懸念があるためインスリン注射療法を行うことになる。胎児への影響があるため、通常時より厳格な管理を必要とし、六分食やインスリン持続皮下注
(CSII) などを行うこともある。
診断基準
早朝空腹時血糖値126mg/dL以上、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT))2時間値200mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上のいずれかであれば糖尿病型と判断する。血糖値が糖尿病型でかつHbA1c 6.5%以上であれば、糖尿病と診断できる。血糖値が糖尿病型でかつ糖尿病の典型的症状があるか確実な糖尿病網膜症が確認された場合も、糖尿病と診断できる。血糖値は糖尿病型であるが、HbA1c 6.5%未満で上記の症状や確実な網膜症がない場合は、もう一度別の日に検査を行い、血糖値またはHbA1c値で糖尿病型が再度確認できれば糖尿病と診断できる。
・HbA1c値だけが糖尿病型である場合は、別の日に血糖値の再検査を行い、血糖値が糖尿病型であることを確認したうえで糖尿病と診断する。
・HbA1c 6.5%以上が2回みられても糖尿病とは診断できない。
・糖尿病型の場合は、再検査で糖尿病と診断が確定しない場合でも、生活指導を行いながら経過を観察する。
・境界型(空腹時血糖値110~125mg/dLまたはOGTT2時間値140~199mg/dL)は糖尿病予備軍であり、運動・食事指導など定期的な管理が望ましい
検査
血糖値
早朝空腹時の正常値は70-110mg/dl。126mg/dl以上を糖尿病と診断、随時血糖の正常は140mg/dl。200mg/dl以上を糖尿病と診断する。正常でも糖尿病でもない状態を境界型糖尿病となる。
糖負荷試験
糖尿病の疑いがある場合、糖負荷試験で診断を行う。朝まで10時間以上絶食の後、空腹時でブドウ糖液(75g)を飲用し、負荷前、30分、1時間、2時間の血糖値を測定する。空腹時126mg/dl以上または負荷後2時間値200mg/dl以上を糖尿病型、空腹時110mg/dl未満および負荷後2時間値140mg/dl未満を正常型、いずれにも当てはまらないものを境界型と診断する。境界型には空腹時血糖100~125mg/dLのIFG:impaired fasting glucoseと75gOGTT2時間値140~199mg/dLのIGT:ipmaired glucose torelance及び両者の混合型があるが、いずれも正常型に比較して有意に糖尿病への進行、虚血性心疾患の合併が多い。
ヘモグロビンA1c(HbA1c)
5.8%未満が正常、6.5%以上で糖尿病と診断する。1~2ヶ月前の血糖の平均値を反映する。
尿検査
血糖値160-180mg/dl以上で、尿中にブドウ糖が出てくる。空腹時の尿糖が陽性の場合、血糖コントロールが不良であることを示す。尿糖は腎臓で濾過されるのに時間がかかるため、血糖より約30分遅れて出てきます。また、膀胱の中で一時的に貯められるため、正確な値を知るためには測定の20~30分前に一度排尿して膀胱をカラにする。そしてカラにしたあとに貯まった尿で尿糖の検査をする(2回採尿法)。
尿蛋白
正常は陰性(-)で、陽性(+以上)の場合、糖尿病の合併症である糖尿病性腎症が始まっている。より初期の蛋白尿を検査するために、尿中微量アルブミンを調べることがある。
尿ケトン体
脂肪が栄養として使われるときに作られる物質で通常は陰性(-)。糖分が体の中でうまく使われないときに作られる(糖尿病性ケトアシドーシスなど)。
血中Cペプチド
インスリン分泌能の指標とされる。治療としてインスリンを使用している患者では血中インスリンをはかっても、注射したインスリンも一緒に測定してしまい、抗インスリン抗体をもつ患者では血中インスリン測定値は正確な体内での有効インスリン量を反映しない。Cペプチドは、膵臓がインスリンをつくるときにできる副産物であり、体が作っているインスリン量を反映する。空腹時血中Cペプチドが0.5ng/ml以下ではインスリン依存状態と考えられる。
尿中Cペプチド
24時間ためた尿中のCペプチドを測定することにより、血中Cペプチドよりもさらに正確にインスリン分泌能を測定する。冷蓄尿が必要なため、入院中しか検査することができないがインスリン分泌能で最も信頼されている検査である。20μg/day以下ならばインスリン依存状態と考えられる。
インスリン分泌指数(II)
75g経口ブドウ糖負荷試験にて負荷後30分の血中インスリン増加量を血糖値の増加量で除した値をインスリン分泌指数という。これはインスリン追加分泌のうち初期分泌の指標となる。糖尿病の初期から初期分泌は障害される傾向がある。この値が0.4以下は糖尿病型である。境界型糖尿病の患者でもこの値が0.4以下の患者では糖尿病に進展しやすいといわれている。II=⊿血中インスリン値(30分値―0分値)(μU/ml)/⊿血糖値(30分値―0分値)(mg/dl)
血中インスリン
インスリン抵抗性の指標である。1型糖尿病では極めて少ないか、検出できないこともある。2型糖尿病初期には通常、高すぎる血糖を下げるため高値である。早朝空腹時の血中インスリン濃度が15μU/ml以上であった場合は明らかなインスリン抵抗性が考えられる。
HOMA-IR (homeostatic model assessment-insulin residence)
空腹時血糖値が140mg/dl以下の場合、他のインスリン抵抗性の値とよく相関するといわれ外来でも行うことができる簡便な指標である。空腹時血糖値と空腹時血中インスリン濃度によって計算される。HOMA-R=空腹時インスリン値(μU/ml)×空腹時血糖値(mg/dl)/405が2.5以上の場合はインスリン抵抗性があり、1.6以下では正常である。ただしインスリン治療中の患者では用いることができない。
合併症
糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、脳血管障害、心血管障害、糖尿病性壊疽など
治療
糖尿病の管理目標:
HBA1c             6.5%未満(可能であれば5.8%未満)
空腹時血糖      100mg/dL未満
食後2時間血糖   180mg/dL未満
BMI           22~24
血圧          収縮期血圧 130mmHg未満(尿たんぱく1g/日以上・・・125mmHg未満)
拡張期血圧  80mmHg未満(尿たんぱく1g/日以上・・・ 75mmHg未満)
血清脂質       総コレステロール 200mg/dL(冠疾患・・・180mmHg/dL未満)
LDL-コレステロール 120mg/dL(冠疾患・・・100mg/dL未満)
中性脂肪 150mg/dL(早朝空腹時)
HDL-コレステロール 40mg/dL以上
食事療法
血糖コントロールを行うためには食事療法は必須となる。
・1日の適正なエネルギー摂取量を守る
エネルギー摂取量(kcal)=標準体重(kg)×身体活動量(kcal)
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
身体活動量の目安(体重1kgあたり)
軽労作   デスクワークが主な人・主婦など:25〜30kcal
普通の労作 立ち仕事が多い職業:         30〜35kcal
重い労作  力仕事の多い職業:           35kcal〜
肥満者:                        20~25kcal
・バランスよく食べる
栄養素の配分は 糖質:脂質:蛋白質=50~60:20~25:15~20 とする
・1日3食、規則正しく食べる
食事時間が不規則になるとインスリン分泌が乱れる
・食物繊維が豊富な食品を摂る
水溶性食物繊維は胃排泄の遅延と小腸からの吸収遅延の効果があり、食後の糖吸収遅延と血糖コレステロールの低下作用がある。
・脂質異常症がある場合にはパターンに応じて脂質代謝の改善を図る
脂肪酸の比率は 飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3とすることが推奨される
・アルコール、菓子類などの嗜好品は原則禁止とする
・合併症予防には、血圧のコントロールに注意。塩分制限も有効。
*総脂質量(炭水化物はリスクにならない)、低食物繊維、動物性脂質、動物性たんぱく質量がリスク。野菜、豆、魚は抑制因子。
食事療法の種類
・食品交換表(日本糖尿病学会編「糖尿病食事療法のための食品交換表」)
エネルギー制限をしながら栄養のバランスをとる食事療法。食品交換表では、主な栄養素によって食品を6つのグループに分類する。80カロリーを1単位とし、それぞれの食品グループから摂取する単位数を決め、全体の栄養バランスを保つ。同じ表に分類される食品であれば、交換が可能である。
食品交換表は、栄養バランスとカロリー制限を重視した食事療法。減量や栄養バランスのとれた食事は、糖尿病によってリスクの高まる脳梗塞や心筋梗塞の予防につながります。
* カーボカウント
カーボというのは、カーボハイドレート(炭水化物)の英語の略語。炭水化物の摂取量を調整して、血糖値を管理する食事療法。食後の血糖上昇に炭水化物が影響することから、炭水化物15グラムを1カーボとし、毎食ごとの摂取する炭水化物の量に合わせてインスリンの打つ量を調整して血糖コントロールを行う。各食前に超速効型または速効型のインスリンを打っている1型糖尿病に有効。日本では比較的新しい食事療法だが、多くの国では広く使われている。炭水化物を多く含む食品は、穀類や豆類、じゃがいも、里芋、かぼちゃなどの野菜(=表1)、果物(=表2)、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品(=表3)の三つの群に分けることができる。食品交換表では80kcalを1単位とするのに対し、カーボカウントを用いた食事療法では、表1~表3に該当する食品だけをカウントし、炭水化物15gで1単位(=カーボ)とする(米国式。ドイツでは10gが1カーボ)。
炭水化物は糖質と食物繊維に分けられるが、米国の糖尿病学会は、食物繊維を多く含む。食品に関しては、炭水化物から除いてよいとしている。また、乳製品は乳糖だけでなく、タンパク質や脂肪が含まれているため、糖の吸収がゆっくりである。そこで、表1・表2については1単位あたりの炭水化物量を15g、表3の乳製品に関しては12gとして計算する。
自己免疫疾患である1型糖尿病、またはすでにインスリン注射を行っている人にとって、カーボカウントはインスリンの追加投与量の見積もりに大いに役立つ。
例えば、炭水化物100gを含む食事をした際に、速効型インスリン5単位で食後2時間の血糖値がほぼ空腹時血糖値に戻っていたとする。この人は、炭水化物20gに対しインスリン1単位が必要だったとわかる。これを「インスリン・カーボ比」と呼ぶ。インスリン・カーボ比は、実際の食事の様子から求める以外に、係数を用いて計算する方法がある。係数は速効型では450、超速効型では500を用いる。例えば、超速効型インスリンを毎食5単位、就寝前に10単位打っているとしたら、20gの炭水化物に対して1単位のインスリンが要ることになる。
自分のインスリン・カーボ比がわかれば、夜食にアンパン(=炭水化物49g)を食べるときに、49÷20=2.45で、2単位のインスリン注射の追加が必要だと簡単に計算できる。
・GI値を利用した糖尿病食事療法
イギリス、オーストラリア、アメリカなどでは、「グリセミックインデックス(GI)」という糖尿病食事療法が主な方法として使われている。炭水化物の吸収度合を示すものでGI値が低いほど吸収が穏やかで、GI値が70以上を高GI食品、56~69を中GI食品、55以下を低GI食品として3グループにわけられる。
運動療法
・ブドウ糖の消費が増え、血糖値が下がる
・インスリン受容体が活性化し、インスリンが効きやすくなって血糖値が下がる
・中性脂肪が減り、善玉コレステロールが増えることで動脈硬化防ぐ
・筋肉量が増えることで基礎代謝力が高まり、太りにくい体質になる
有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせて行う。心拍数100拍/分程度、患者自身の「楽である」~「ややきつい」といった体感を目安にする。1回10~30分を1日2回、少なくとも週3日以上の頻度であればよい。
薬物療法
経口薬療法
・ 2~3カ月間、生活習慣への介入を行っても、血糖値、HbA1c、血圧、血清脂質などに改善がみられない場合、薬物療法を考慮する。病態に合った薬剤を選択し、まずは単剤を少量から開始するのが原則である。
・ 目的・作用の違いにより、5つに分けることができる。
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インスリン療法
インスリンの絶対適応
1)1型糖尿病、(2)糖尿病昏睡、(3)重度肝障害、腎障害、(4)重症感染症、(5)中等度以上の外科手術、(6)妊娠、妊娠予定、(7)静脈栄養時の血糖コントロール。以上の場合は自覚症状がなくても、インスリン開始。専門医へ紹介する。
インスリンの相対適応
1) 空腹時血糖250mg/dl以上、随時血糖値350mg/dl以上、または尿ケトン体陽性で自覚症状(口渇、多飲、体重減少)を有する場合、(2)経口薬療法では良好な血糖コントロールに達しない場合、(3)やせ型で栄養状態低下、(4)ステロイド治療時の高血糖、(5)糖毒性を解除するときはインスリンの相対適応であり、インスリン開始。(6)著しい高血糖でも症状がなければ、SU薬開始(グリメピリド〈アマリール®〉0.5~1.0mg、グリベンクラミド〈オイグルコン®など〉1.25mg)のうえ、インスリンを考慮。
・インスリンの相対適応でなく、(1)HbA1c 8.0%以上、(2)FPG 160mg/dl以上、(3)随時血糖値220mg/dl以上のときは急いで血糖を下げる必要がない場合が多く、原則として、2~3カ月の間、生活習慣への介入を行う。
・食事指導のポイント:(1)ソフトドリンクをやめる、(2)腹八分目とする、(3)脂肪は控えめに、(4)食物繊維を多く含む食品をとる、(5)朝食、昼食、夕食を規則正しく、(6)ゆっくりよくかんで食べる。
・運動処方のポイント:有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせて行う。心拍数100拍/分程度、患者自身の「楽である」~「ややきつい」といった体感を目安にする。1回10~30分を1日2回、少なくとも週3日以上の頻度であればよい。
*シックデイ対策
糖尿病患者が治療中に発熱、下痢、嘔吐などで食欲がなくなり食事がとれなくなった場合を言う。
シックデイ対応
①   シックデイには主治医に連絡し,指示を受けること
②   インスリン治療中の患者では決してインスリンを中止しないこと
③   十分な水分摂取により脱水を防ぐようにすること
④   できるだけ,口あたりのよい消化のよい食物を選んでとるように(絶食しないように)すること
⑤   血糖自己測定により血糖値を3~4時間ごとに測定し,血糖値が200mg/dlを超えてさらに上昇傾向がみられるときは,そのつど速効型インスリンを追加するよう指示すること
⑥   尿中ケトン体の測定を行うこと
嘔吐,下痢が止まらずに食物摂取が不能の場合や,発熱が2日以上続き,尿ケトン体強陽性,血糖値が350mg/dlより低下しないときは早急に入院治療させる必要がある。
*ソフトドリンクケトーシス
青年期の高度肥満f男性に発症することが多いショ糖を含むソフトドリンクを過剰に摂取することで高血糖を繰り返しインスリンの分泌低下と作用減弱からケトーシスをきたす。
*糖尿病カンバセーション・マップとは?
「糖尿病カンバセーション・マップ」(以下、カンバセーション・マップ)は、大きなスゴロクのような「会話のための地図」を囲み、糖尿病患者さんや家族、友人が5~10人程度のグループで話し合い、境遇を共にする患者さんの知識や体験から糖尿病について互いに学び合う、全く新しい糖尿病の学習教材。グループの興味関心に従い、4つある「会話のための地図」(①「糖尿病とともに歩む」、②「糖尿病とはどんな病気ですか?」、③「食事療法と運動療法」、④「インスリン注射」)の中から1つを選び、進行役の医療スタッフと共にそれぞれのテーマについて1時間ほど話し合う。そして、グループでの会話を通じて、糖尿病に関する知識を整理し、糖尿病の療養に対する自らの感情を見直し、前向きな療養生活を送る目標作りを行っていく。カンバセーション・マップは、国際糖尿病連合(IDF)により、今後、世界各国で普及される予定で、イギリスやカナダ、アメリカなどの国々で既に好評である。日本では、IDFから委託を受けた日本糖尿病協会が今後の普及を担当し、十分にトレーニングを受けた医療スタッフが各医療機関でカンバセーション・マップの進行役を務める。
考文献
ガイドライン外来診療2009
コメディカルのための静脈経腸栄養ハンドブック
日本糖尿病学会:糖尿病治療ガイド2010
日本糖尿病対策推進会議:糖尿病治療のエッセンス2010-201
糖尿病のあなたへ かんたんカーボカウント