タグ別アーカイブ: 摂食・嚥下障害

嚥下食連絡表(案)

嚥下食連絡票(案)

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<食事写真・主食形態・副食形態>
貴施設でご提供されているお写真をご提示ください。お写真と合わせて、主食・副食の詳細な形態をご記入いただく事で、施設間で相違している食事名称・形態の違いをより患者様にあった食事提供ができる事 を目的としています。
1)添加剤について

ゲル化剤・増粘剤をご使用の場合は、ご使用されているものをご記入ください。

ゲル化剤とは⇒液状、ミキサー状のおかずなどをゼリー状にするもの

増粘剤とは⇒お茶などの液体に粘度(とろみ)をつけるもの

2)キザミ・一口大について

キザミ・一口大の大きさは、施設間によって違いがあります。キザミに関しては、段階設定がある施設が多いため、具体的に大きさ(○㎜)の記載をいただけましたら幸いです。

3)注意食品・嗜好食品

特に注意を要する食品(アレルギー・介助中特に注意を要した食品など)がありましたら、ご記入ください。また、認知症等で十分な摂取量が保てない患者に対し、喫食率が良かったものや工夫された点がございましたら、御伝達ください。

<水分>
1)増粘剤の目的

液体はさらっとし、まとまりが悪く、咽頭に流れるスピードが速いものです。そのため飲み込みの準備が十分できないままに流れるため、誤嚥しやすいと言われます。

そこで、粘度(トロミ)を付ける事によって、まとまりをよくし、咽頭に流れ込む速度をゆっくりにすることで、嚥下の準備ができ、タイミングが取りやすくなるため、水分にトロミ剤を使用します。

2)増粘剤のリスク

増粘剤は、①商品によって同じ量を使用しても、とろみのつき方が違う、②溶かす温度や時間、溶解方法によって硬さが変化する、この2点があげられ、粘度のつけすぎは張り付きが強くなり、かえって窒息や残留の原因になるため、適切なトロミを作ることが重要となります。

3)適切な濃度

一般的には、スプーンですくって落としたときに、軽く糸を引く程度が適切とされる。

4)摂取方法

増粘剤を使用しなくても、一口量を守り少量ずつであれば摂取できる方もいます。同様に、増粘剤によりトロミをつけても、一口量が増す事により誤嚥のリスクが高まるため、トロミに濃度だけでなく摂取方法・一口量は患者に注意が必要となります。

<食事摂取状況>

1)介助方法

自己摂取可能なADL状況である場合でも、自己摂取すると誤嚥する場合が多くあります。 特に、認知症による注意障害(食事に集中できない、キョロキョロする)やペーシング障害(詰め込み食べをする)がある場合は注意が必要です。

2)姿勢

姿勢を調整する事により、さまざまな利点があるため、姿勢保持は重要となります。

①送り込みに障害がある場合、重力を利用して嚥下を助ける。

②気管が食道より上にくるという位置関係を作る事により、誤嚥が起こりにくくなる。

③全身の姿勢保持に嚥下関連筋が使われるのではなく、嚥下に筋活動が集中できる。

※体位にて代償を行う際、ベッド上30度~60度は必ず、頸部を前屈させる事が重要となる。

☆頸部前屈位

・頚部を前屈することによって、咽頭と気管に角度がつき、誤嚥しにくくなる。

・前頚筋群が弛緩して嚥下しやすくなる

・あごから、胸まで3~4横指が入るぐらいが目安。

3)一口量

患者にとって安全な一口量で介助を行う事が、誤嚥を防ぐことにつながります。どのスタッフが介入しても同じケアが行えるよう、同じスプーンでの介助とし、一口量を設定することをお勧めしています。

4)投薬方法

基本的には食事形態に合わせた方法で、内服を行います。

①粉薬の場合

・粉薬を少量(1、2口で飲める量)の水で溶解した後に、上記の水を飲む時と同じ程度のとろみをつける。

・1~2口分の食事に混ぜて投薬する。

※食事全体に混ぜない 例)食べる前のお粥のお椀の中にいれる

②簡易懸濁法

簡易懸濁法は、温かい湯(約55℃)に錠剤をいれ薬10分間放置し溶解する方法です。本来は、経管的投与に用いる法なので、溶解により苦味などが強くなることを考慮して適応を決定する。また、懸濁に用いる量は最小限で、同量である事が望ましい。投与前に増粘剤を添加する。

③ゼリー埋没法

錠剤を図のように、ゼリーの中に埋め込み、丸のみしていただく。

5)その他

介助時の注意点や、誤嚥を防止するためのポイントで実際行ってきた事をご記入ください。

例)食事後半は筋疲労が出てきます。30分をすぎ、ムセが増えてきた場合は、食事を終了してください。

交互嚥下:違う物性の物を交互に摂取し、残留を除去する。キザミのおかずを摂取後、トロミ茶を飲む。

複数回嚥下:飲み込む力が弱くなっている場合、一口に一回の嚥下では処理できないため、一口について複数回飲み込む事を促し、残留を防ぐ。

咳払いを促す:食事開始後にガラガラ声になるなど、声の変化は食べ物がのどに残留しているサインです。空咳を促す事で、残留している物を喀出します。

 

嚥下障害ポケットマニュアルより一部引用

摂食条件表

2011.09.13栄養学習会(球麻痺・仮性球麻痺)

嚥下障害をき起こす脳卒中の3つの病態

1.摂食・嚥下に関する脳神経と働き

橋: 三叉神経:顔面と口腔内の知覚を大脳に伝える。咀嚼の為の筋肉を動かす。

顔面神経:顔面の筋肉を動かす。唾液分泌。舌前2/3味覚。

延髄: 舌咽神経:咽頭・喉頭の知覚と運動をつかさどり、嚥下反射をコントロールする。舌後1/3味覚。唾液分泌。

迷走神経:咽頭・喉頭・食道の運動と知覚を司り、消化管の蠕動運動を支配する。迷走神経から分岐した反回神経は声帯(声を作る所で嚥下の瞬間は閉じている)の知覚と運動を支配。

副神経:胸鎖乳突筋や僧帽筋を支配し、頸部の安定。

舌下神経:舌の運動

大脳辺縁系:本能行動、情動反応、記憶

脳幹網様体賦活系

上行性網様体賦活系:覚醒、意識の保持

下行性網様体賦活系:姿勢保持・平衡機能維持のための筋調節

2.摂食・嚥下障害と病態

球麻痺、仮性球麻痺、一側性大脳病の3つに分けられる。

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仮性球麻痺の障害部位による3つの分類
Ⅰ.  皮質・皮質下型

症状:失語症、失行、失認、前頭葉症状、認知症症状

特徴:随意運動はできないが意識的でない運動はできる。強制泣き笑い、感情失禁、口顔面失行

リハビリテーションの問題:

①意識が集中できず注意が守れなかったり、持続しない。

②学習効果がない。

③失語があって言語指示が理解できない。

④失行があって食器の使い方や食べる順番がわからない。

⑤保続の為に同じ動作を繰り返す。

⑥食べている最中にしゃべりはじめて誤嚥の危険が高まる。

⑦食べるために訓練が必要であるという意味がわからない。

Ⅱ. 内包型(大脳基底核型・中心型)

部位:線条体や内包、視床を含んだ病変

症状:脳血管性パーキンソン症候群を呈する事が多い。

仮面様顔貌、四肢の筋肉硬直、振戦、小刻み歩行、無動や寡動などの運動速度低下

リハビリテーションの問題

①自分のペースで食べているときは問題ないが、周囲が片付けを始めたり、急がせたりすると途端にムセが始まる。

②自分のペースで食べている時は一口量も少なく、一口について複数回嚥下を行っているが、急がされると口に含む量が多くなったり、注意が嚥下からそれてしまうため、協調性乱れたり、咽頭残留があっても次々に食べるため、あふれ、誤嚥につながる。

Ⅲ. 脳幹型

部位:延髄より上、槗や中脳の梗塞で見られる

症状:知的問題は少ない、眼振、嘔吐、嘔気。

大きい病変の場合・・・・眼球運動障害、眼振、失語症、四肢麻痺(⇒ロックトイン症候群)

※球麻痺の要素を同時に持っている場合もあるので注意が必要である。隣接する延髄機能が低下するため、呼吸が停止し嚥下反射も全く消失し、球麻痺と同様の症状を呈する。急性期をのりきると、徐々に回復する。

リハビリテーションの問題

①眼振が明確にみられ、眩暈が強い時は安静を保つ。この時期に無理に動かさず、嘔気・嘔吐をなるべく経験させないようにする。(不安から体動を拒否しないようにするため)

②眩暈がおさまったら、精神的サポートを行いながら坐位訓練・嚥下訓練に移行する。

③眼球運動障害がある場合、複視が発生する。眼帯などをし、影響を最小限にとどめる。

3. 一側性病変

原因:左右どちらかの上位運動ニューロンの一側性障害

症状:病巣と反対側の口唇・舌に障害が出現。準備期・口腔期の障害が主体。

口唇の取り込み、口腔周囲の知覚低下、咀嚼運動、舌の送り込みの障害

※両側性の支配をうけている部位(舌咽・迷走・三叉)の障害は一側性では見られない。

薬と摂食・嚥下障害

薬と摂食・嚥下障害の関連について

1.摂食・嚥下のメカニズム

先行期:食べ物を認識し、食べ方を決める。食べ方をきめて、口に運ぶ。

認識には大脳機能が関与(視覚・嗅覚・触覚・味覚・聴覚)

準備期:咀嚼し、唾液と混合しながら味覚を得て、飲み込みやすいように食塊を作る。

口・頬・舌など協調的に働き、口腔内の感覚入力(味覚・触覚・温度)により流れ落ちないようにし、適切な食塊を形成する。

口腔期:食塊を口腔から咽頭に送り込む

舌が上顎につき前から後ろに絞り込む様な動きをし、咽頭に送り込む。

咽頭期:喉頭が上がり、嚥下反射がおこり咽頭を通過し、更に食道へ食塊が送られる。

鼻への逆流予防・舌と上顎がふさがる・気道防御の3つがされる。

食道期:不随意運動によって、食塊が食道から胃へ送られる。

 

2.嚥下に有利に効く薬

1)原疾患への治療薬剤

 パーキンソン病:抗パーキンソン病薬 

※薬効を確認する(wearing-off、on-Off)   

2)咳・嚥下反射を誘発する薬

 咳反射・嚥下反射の低下は誤嚥性肺炎や不顕性誤嚥 

 むせのない誤嚥)の原因となる。反射低下の原因はドパミンの代謝低下による咳・嚥下反射の誘発因子であるサブスタンスPの低下である。

  主な疾患:大脳基底核領域の脳血管障害

 <サブスタンスPの濃度を上昇させる薬剤・物質>

・カプサイシン(唐辛子の成分)・・・サブスタンスPをストックから放出

・ドパミン(L-DOPA):サブスタンスPの放出を刺激

・ACE阻害剤・・・ACE阻害薬はサブスタンスPの分解を抑制する作用があるため、上気道にサブスタンスPの集積が起こりされ、嚥下反射を改善する。(タナトリル®:降圧剤)

・アマンタジン・・・神経末梢よりドパミンを放出させ、サブスタンスPの濃度を上昇させる。(シンメトレル®:抗パーキンソン剤)

・清肺湯・・・活性酸素の発生を抑制

・半夏厚朴湯・・・唾液中のサブスタンスPの濃度を上昇させる

3.嚥下に不利に働く薬

中枢神経系に作用する薬物は・・・

①眠気・注意力低下、②摂食・嚥下を司る脳幹部機能の直接的抑制、③運動障害の惹起、④神経筋の遮断感覚の低下、⑤ミオパチーの誘発、⑥口腔・咽頭の感覚障害、⑦唾液分泌障害などの、嚥下の5期の広領域に影響を及ぼす

1)意識レベルや注意力を低下させる薬剤:抗不安薬、抗精神病薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、第一世代抗ヒスタミン薬など

ドパミン遮断作用薬によるサブスタンスP放出低下から、迷走神経機能低下により嚥下反射低下、咳反

射低下により不顕性誤嚥の発症。意識レベルの低下や眠気により、先行期を始め、嚥下の5期全体に影響。

覚醒の有無 意識レベル 刺激に対する反応 嚥下機能
準備期・口腔期 咽頭期
覚醒している 123 だいた意識清明だが、今ひとつはっきりしない時・人・場所がわからない名前、生年月日がいえない 可能 可能
刺激を加えると覚醒する 102030 普通の呼びかけで容易に開眼する大きな声または体を揺さぶることにより開眼する痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼 障害 可能
刺激を加えても開眼しない 100200300 痛み刺激に払いのける動作をする痛み刺激に手足を少し動かしたり、顔をしかめたりする痛み刺激に全く反応しない 障害 可能

引用:鎌倉やよい 「摂食・嚥下ナーシング」 

2)唾液分泌を低下させる薬剤:抗コリン薬、抗うつ薬、第一世代抗ヒスタミン薬、利尿薬など

唾液分泌が低下すると、口腔内乾燥がおこる。食べものの味覚を悪化させ、咀嚼機能の低下をもたらし、嚥下するまでの咀嚼回数は増加し、嚥下までの時間が延長する。胃腸の機能や摂食・嚥下の協調運動に悪影響をあたえる。

3)運動機能を阻害する薬剤

①錐体外路症状:抗精神病薬、制吐剤、消化性潰瘍治療薬

    ジスキネジア→顔面・口・上肢・体幹にみられる無目的で不規則な不随意運動。とくに遅発性ジスキネジアは、閉口・咀嚼・食塊形成が困難であり、窒息が起こりやすい。

    ジストニア→舌・頸部などにみられる突発な筋肉の捻転やつっぱり、痙縮あるいは持続的な異常ポジション(筋緊張の異常な亢進)。舌では舌運動制限による送り込み・食塊形成不全・

    舌口蓋閉鎖不全。頸部の姿勢異常(とくに頸部後屈位)により誤嚥のリスク増大や嚥下関連筋の可動制限による広範囲な障害。

    動作緩慢(アキネジア、仮面様顔貌)→動作が鈍くなる、活動性が乏しくなること。また動作の開始が遅延、開始不能。口腔内に食物を入れることができない(開口に時間がかかる)、入れても咀嚼がなか  なか起こらず、早期咽頭流入をおこすため誤嚥につながる恐れがある。

    振戦→口・指・四肢に認められる反復的・規則的なリズミカルな運動。振戦により捕食への影響

筋力低下:骨格筋弛緩薬、抗不安薬、催眠剤

    筋弛緩作用薬による嚥下関連筋の作用低下に伴う嚥下反射機能低下。舌骨上筋群の筋弛緩による舌骨挙上不全によるもの、顔面神経、舌下神経支配筋肉の弛緩による食塊形成不全・送り込み低下による嚥下圧形成不全。筋弛緩による声帯閉鎖・披裂の内転・喉頭蓋の反転不足により気道防御能の低下が起こるため、誤嚥しやすい。高齢者の場合は筋弛緩作用がおこる。

③消化管運動低下

    自律神経の胃腸の蠕動運動を冒し、食道の運動性・胃内容物の腸への移送や下食道括約筋機能を障害し食道期に影響する。

   ・アカラジア:食道蠕動障害・下食道括約筋の痙攣を特徴とし、食道に未消化の食べ物が停滞し、夜間就寝中に食道内容物の逆流と肺への誤嚥を引き起こす。

   ・胃不全麻痺と偽性閉塞:胃内容物の腸への排出能の減少を起こす。主に糖尿病とパーキンソンに併発。

      抗コリン薬(トリヘキシフェニジル:アーテン®)

      レボドパ増強薬(アマンタジン:シンメトレル®、レボドパ)

   ・胃食道逆流:LESの安静時緊張度の低下し、酸性胃内容物の吐出、逆流する。

      抗コリン作用薬、抗ヒスタミン薬、抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系薬

      β遮断薬(インデラル®、テノーミン®、ロプレソール®)呼吸改善薬(テオドール®)

      Ca拮抗薬(ニフェジピン:アダラート®、セパミット®、ジルチアゼム:ヘルベッサー®、ベラパミル:ワソラン®)

      NSAIDs薬(ロキソニン®、ボルタレン®)によるCOX-1抑制による食道停滞

4)粘膜障害を起こす薬剤:非ステロイド性抗炎症薬、抗菌薬、抗悪性腫瘍薬、骨粗鬆症治療薬

   副作用として口腔~食道の粘膜障害を生じる薬剤は、粘膜の炎症により疼痛(嚥下時痛)を生じる。

5)味覚・嗅覚に変化を及ぼす薬剤:抗コリン薬、抗菌薬、抗炎症薬、抗高血圧薬、抗不整脈薬など

<味覚喪失>                    

分類 一般名 商品名
抗菌薬 アムホテリシンB ファンギゾン
クラリスロマイシン クラリス
抗てんかん薬 カルバマゼピン テグレトール
降圧薬 塩酸ジルチアゼム ヘルベッサー
利尿剤 スピノロラクトン アルダクトン
睡眠薬 トリアゾラム ハルシオン

<いやな味>

分類 一般名 商品名
抗うつ薬 イミプラミン トフラニール
パロキセチン パキシル
抗菌薬 アズトレオナム アザクタム
シプロフロキサシン シプロキサン
睡眠薬 フルラゼパム ベノジール
抗炎症薬 ジクロフェナク ボルタレン
胃腸系薬 オメプラゾール オメプラール

 

  

  

  

  

 

 

 

<鉱味>

分類 一般名 商品名
抗炎症薬 スリンダク クリノリル

 

  

  

<苦味>

分類 一般名 商品名
抗炎症薬 アスピリン アスピリン
抗精神病薬 リスペリドン リスパダール

 

 

 

<味覚変化>

分類 一般名 商品名 味覚の変化
降圧薬 カプトプリル カプトプリル 甘味・塩味・苦味変化、嫌な味、味覚喪失
心臓薬 ジピリダモール ペルサンチン 塩味変化、嫌な味
利尿剤 フロセミド ラシックス 甘味の変化、嫌な味

 

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 摂食・嚥下機能に影響を与える薬物一覧

                              引用:月刊ナーシングvol.30.No10.2010,9