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2011.11.29栄養学習会(小児の栄養管理Ⅱ)

『小児の栄養量』

≪必要総熱量の決定≫

●新生児 ⇒ 80kcal/( 基礎代謝量45kcal/㎏ + 成長に必要な20kcal/ + 生活活動に最低限必要な15kcal/

●生後5ヶ月(授乳期)まで ⇒ 110120kcal/

●生後6ヶ月~11ヶ月(離乳期)まで ⇒ 100kcal/

1歳を過ぎると徐々に減っていく

≪必要タンパク量の決定≫

●新生児・幼若乳児期のアミノ酸投与量は2.0//dayが適当であり、それ以上mになると肝機能以上に気をつける

●小児は非タンパク熱量(NPC/N比)を高く設定することで窒素利用効率が高まり、腎への負担も軽減するため、200250に設定する(成人150前後よりも高く保つことが重要

≪非タンパク熱量の決定≫

●総エネルギー所要量における脂質の割合は、以下の通りが好ましい。新生児:50% 、 乳児:40% 、 幼少児:30% 、 思春期以降:25
『栄養療法における小児の特殊性』

≪エネルギー代謝の特殊性≫

●エネルギーの備蓄量が成人と比べ少ない

●発育・成長にエネルギーを必要とし、体重比に対して体表面積が大きく、成人と比べ体重あたりの基礎代謝量が多い

●低栄養は身体・発育のみならず脳神経機能の発達にも影響(低栄養では→脳の重量、タンパク質、DNA含量、脳細胞などが減少)

脳重量・・・出生時は成人の25%、12ヶ月75%、4歳までに90%に達する

●新生児・乳児期では代謝関連酵素の未熟性のために過剰なエネルギー投与が肝機能を起こすことがある

≪アミノ酸代謝における特殊性≫

●新生児・乳児期はアミノ酸代謝速度がきわめて速い

●フェニルアラニン・チロシンの分解活性が低いため、過剰症となりやすく中枢神経障害に気をつける(フェニルアラニン・・・脳障害、チロシン・・・成長障害)

●メチオニンからシステインへの変換酵素の活性が低いためシステインは準必須アミノ酸扱いとなりやすい(母乳に含まれるタウリンは中枢神経系や網膜の発達に関与し低出生体重児や新生児では含硫アミノ酸の代謝が不十分なためタウリンはアミノ酸に属さないが準必須アミノ酸となる)

≪糖代謝における特殊性≫

●乳児期までは膵アミラーゼの活性が低いため、多糖類(でんぷん・デキストリン)は分解されにくい

●乳児期までは、ラクターゼの活性(乳糖分解酵素)が高いので、糖質としては乳糖が好ましい

●離乳期以降は、デキストリンでよい

≪脂肪代謝における特殊性≫

●新生児~乳児期は膵リパーゼの活性が低く、胆汁酸プールが少ないため脂質の消化・吸収は不十分で、便中に1015%排泄される

●母乳や人工乳は、エネルギー比として45%の脂質が含まれるが舌リパーゼや母乳中の胆汁酸塩促進性リパ ーゼにより分解される(母乳は人工乳に比べ吸収が、また胆汁の分泌が少なくても吸収されやすい)

●無脂肪輸液を2週間以上続けると容易に必須脂肪酸欠乏をきたすため23週間以内に経口および経腸栄養が開始できないときは脂肪乳剤の投与が必要である

●必須脂肪酸(リノール酸・αリノレン酸・アラキドン酸)は、人体の成長発育および機能調節に必須で、 常に一定の摂取が求められるため、必須脂肪酸欠乏に注意していく(必須脂肪酸の予防のためには、総エネルギー量の最低4%以上を脂肪で投与する必要がある。

●新生児期はリポタンパクリパーゼ活性が低く、長鎖脂肪酸の酸化に必要なカル二チンが不足し、肝機能も未熟なので脂肪乳剤の静脈栄養投与量は制限される

≪静脈栄養の特殊性≫

●微量元素で特に小児において必要とされるものは、Fe・Cu・Znである

●長期静脈栄養時、微量元素欠乏をきたしやすいのは、Cu・Zn・Seである

●新生児、特に未熟児では、血糖値の調整機能が低く低血糖や高血糖になりやすいため細かいモニタリングを必要とし、低血糖は中枢神経障害の原因、高血糖は脱水や頭蓋内出血の原因となりやすいため注意していく

≪経腸栄養の特殊性≫

●新生児~乳児早期にかけての適切な経腸栄養はない

●経腸栄養剤でよく用いられているカゼインは乳児では分解されにくいので母乳・人口乳が好ましい(特に母乳は栄養素が過不足なく含まれIgAなどの免疫物質も含まれている)

●調整粉乳から経腸栄養剤への変更に、タンパク質およびNaClの負荷および脂溶性ビタミン、特にビタミンDおよびAの不足が懸念

●経腸栄養の計画は、組成の任意性が少ないので、エネルギー量を決め、次いでタンパク・脂質量・その他の組成をチェックし問題を把握

●出生時から長期経管栄養は、経口摂取障害長期残存の原因となる

●離乳食の開始時期は食事に興味を持ち始めてから

●長期例では経腸栄養剤のみではなくミキサー食も考慮

≪母乳栄養の特殊性≫

●腸管免疫を主体をなす免疫物質を分泌(ラクトフェリン、リゾチーム、分泌型IgA、貧食細胞など)

●ビフィズス菌増殖因子として乳糖や30種類以上のオリゴ糖を大量に含有→感染防御、腸の発達面で有利

●中枢神経系や網膜の発達に関与するタウリンの量が多い

●乳清タンパク : カゼイン = 60 : 40 で消化の良い乳清蛋白が多い(牛乳はカゼインが母乳の6倍)

小児の栄養管理その2

小児の栄養評価

1. 身長、体重

2. 体重パーセンタイル値

3. 体重比

H/A: height for age 同年齢の標準身長に対する患児の身長の比(慢性の栄養障害)

* 標準身長は表(別紙)を見て入力しないといけない

W/H: weight for height 同身長の標準体重に対する患児の体重との比

* 身長あたりの標準体重は表(別紙)を見て入力しないといけない

健常時体重比: 本人の健常な時の体重と現体重の比

栄養障害軽度85~95%、中等度75~85%、高度75%以下

* 健常時の定義と成長に伴う変動にて誤差が大きい

カウプ指数(6歳以下)= 体重(g)/身長(cm)2×10

やせすぎ 13未満、 やせぎみ 13以上15未満、 標準 15以上19未満、

太りぎみ 19以上22未満、 太りすぎ 22以上

* 生後3ヶ月以内は不適

ローレル指数(7歳以上12歳以下)= 体重(kg)/身長(cm)3×107

やせすぎ 100以下、 やせぎみ 101~115、 標準 116~144、

太りぎみ 1451~159、 太りすぎ 160以上
4. 体重減少率

体重減少率(%)= (健常時体重-現在の体重)/健常時体重×100

栄養障害軽度 5%未満、中等度 5~10%、高度 10%以上
5. TSF(上腕三頭筋皮下脂肪厚)・・・脂肪量(エネルギー量)の指標

新生児 10mm、 以後3ヶ月ごとに1mmずつ増加

1歳~5歳   13~14mm

6. AMC(上腕筋囲)         ・・・蛋白量の指標

新生児  9cm

9ヶ月  12cm

1~3歳 13cm、 以後2,3年で1cm増加

栄養障害軽度 80~90%、中等度 60~80%、高度 60%以下
小児の必要栄養量

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小児の基礎代謝量:

10kg以下     (体重(kg)-0.4)×57

10~20kg     (体重(kg)+8.6)×30

活動係数(成長に必要なエネルギー)

寝たきり(動かない) 1.3  ベッド上安静 1.5  活動あり(歩行など) 1.7

傷害係数

感染症 軽度1.0 中等度1.2 高度1.5

外傷 骨折・鈍傷 1.1 頭部外傷 1.2 多発外傷 1.3

熱傷 体表面積10%ごと 1.0+0.2ずつアップ(最大2.0)

臓器不全 1.2(1臓器) 1臓器ごとに0.2アップ

水分量

0~10kg     100ml/kg

10~20kg   1000ml + 50ml/kg(10kgを超えたkg)

20kg以上   1500ml + 20ml/kg(20kgを超えたkg)

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小児の栄養管理その1

≪小児の栄養管理においての注意するポイント≫
■発育・成長による基礎代謝の増大(体重あたりの基礎代謝量も大きい)
→小児の特徴は、常に成長・発達をしているので、生命維持だけでなく発育を促すための栄養素を必要とする。
■低い予備能
→特に新生児・乳児では、肝臓や腎臓などの臓器機能が未熟であり、代謝予備能が低いことに注意する。
■体液生理の特殊性
→小児では体構成成分に占める水分の割り合いが高く、体液の質的あるいは量的変化の影響を強く受けることに注意する。
 
≪子どもの栄養管理≫
小児の栄養の特徴
(1)小児の栄養素はエネルギーとして消費される栄養素と発育のための栄養素が必要であり、
総エネルギー量とともに、特に蛋白質の摂取が重要である
(2)小児は消化・生理機能が未熟である。
乳児期は、消化機能にあわせながら離乳食を加え、だんだん大人と同じ食事に移行していく。
消化機能が未熟であるということは、とくに食物アレルギーには留意する。
(3)栄養法は、乳汁、離乳食、幼児食というように発育時期に合わせながらすすめる必要がある。
(4)小児は、免疫機能が未熟なため感染に対する抵抗力が弱いので、衛生面には十分注意する必要がある。
(5)発育面では、「身体発育曲線」で成長を確認する。個人ごとの発育にあわせながら栄養バランスを考えた食事にする。
(6)小児の嗜好を考慮しながら使用食品、調理形態、食事回数などにも留意する。
(7)食習慣形成の途上であるから、好ましい食習慣が身につくよう良い生活リズムの定着をはかり「食育」にも心がける。
 
≪小児は脱水に陥りやすいのは・・・?≫
●体構成成分に占める水分の比率が高く、細胞外液の割合が大きい
●水分の回転率が高い
●未熟な腎機能
●代謝が盛んであり、不感蒸排泄量が多い
 
≪腎機能が未熟≫
●尿濃縮能、Na排泄能、水素イオン排泄能、重炭酸再吸収の機能が低い
●排泄に多量の水分を必要とするため、電解質や電解質や窒素の過剰投与に注意す
 
 
蛋白質
蛋白質はエネルギー源であると同時に、人体を構成する細胞や酵素、ホルモン、免疫体を生成に必要な栄養素。
蛋白質は、発育の盛んな時期ほど重要であり、必須アミノ酸の必要性から低年齢(幼児期)では、50%以上が動物性で
あることが望ましい。生活習慣予防には、動物性食品は肉と魚介類をバランスよく摂取したい。
乳児は腎機能が未熟なので、蛋白質の過剰摂取に注意する。逆に少ない場合は、体重減少や貧血を起こす。
食物アレルギーの場合、誤った除去食による体重増加不良は、蛋白質不足によることが多いので注意をする。
 
≪蛋白質投与の注意点≫
●未熟なアミノ酸代謝機能(新生児・乳児期は、アミノ酸代謝が未発達である。)
・過剰な投与により蓄積が生じやすくなるにアミノ酸・・・フェニールアラニン、メチオニン
⇒蓄積は中枢神経障害を引き起こすことがあるため十分に注意
・体内での合成が不十分であるといわれており不足に注意するもの・・・システイン、タウリン、ヒスチジン、アルギニン
(小児の条件付必須アミノ酸)
●未熟な腎機能・肝機能(新生児・乳児期は、過剰な蛋白負荷は避ける)
・窒素利用効率を高めることが重要(NPC/N比=非蛋白エネルギー/窒素比の目安=150~250)
⇒NPC/N比を保ち、十分なエネルギー量を投与しつつ肝・腎への負担とならない蛋白質の投与量を維持することが求められる
蛋白質分解酵素であるペプシン活性には胃酸が必要。
新生児の胃酸は成人の30%でありペプシン活性も10%以下と低いが2歳ころには成人と同等となる。
 
摂取する目安は、⇒ 生後5ヶ月未満では10~15g/日、生後6~11ヶ月では15~20g/日である。
(母乳栄養は消化吸収の効率が良いため、人口栄養児より低めに設定されている。)
1~2歳20g/日、3~5歳25g/日、6~7歳30~35g/日、8~9歳40g/日、10~11歳50g/日、12~14歳55~60g/日
 
脂質
脂質は、グリセリンと脂肪酸の結合でできていて、主に熱量源として利用される。
また、脂溶性ビタミンA、D、E,Kの吸収に大きな影響を与えている。
健康上必要な不飽和脂肪酸(リノール酸、リノレン酸など)は母乳にも多く含まれている。
脂肪酸の比率は、多価不飽和脂肪酸(n-6系:n-3系=4:1) : 一価不飽和脂肪酸 : 飽和脂肪酸 =3:4:3の目安にする
n-6系多価不飽和脂肪酸(リノール酸など)
n-3系多価不飽和脂肪酸(α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などの)
成長期にある子どもにはDHAを多く含む魚などを摂取させたい。
 
摂取する目安は、⇒ 食事摂取基準では、脂質の重量ではなく
1日の総摂取量(摂取するエネルギー量)に占める脂質のエネルギー比率で示されている。
新生児期(0~5ヶ月)50%、乳児期(6~11ヶ月)40%、
母乳の摂取が中心となる新生時期から乳児期は脂質のエネルギー比率が高く設定されている。
それ以降は、成人と同様20~30%のエネルギー比率を保つことが求められている。
1~29歳では20~30%未満(幼少時期30%思春期以降25%程度が望ましい)とされている。
生活習慣病である動脈硬化、乳癌、大腸癌の予防のため摂取量に気をつける。
 
≪脂質投与の注意点≫
●必須脂肪酸の欠乏
・小児では脂質の蓄積が少ないため、適切な補給が行わなければ、容易に必須脂肪酸が欠乏します。
必須脂肪酸は、細胞膜の構成成分として消費されており、発育過程、特に脳神経系が急速な発達過程にある場合には
適切に供給されなければ重篤な障害が発生することがあります。
●投与速度
・静脈からの脂質投与の場合は、成人と同様、脂質として0.1g/㎏/hを超えない速度で投与することが必要です。
必須脂肪酸の補給を目的とした場合、4週に1回、1g/㎏/日(10%脂肪乳剤で9.1ml/㎏/日)の投与が必要といわれています。
●未熟児・新生児への脂質投与
・未熟児や新生児に対して脂肪乳剤を投与する場合、血清トリグリド値が>200㎎/dlとなった場合には、投与を制限します。
(一旦投与を中止し、0.5g/㎏/日の投与から再開する。)
 
炭水化物
炭水化物のなかの
糖質(果物に含まれる…ブドウ糖、 母乳・牛乳に含まれる…乳糖、 調味料である…砂糖、 穀類に含まれる…でんぷんなど)
糖質はアミラーゼにより、ブドウ糖、ガラクトース、果糖のような単糖類に分解される。分解された単糖類は腸管(小腸粘膜)
から吸収され、大部分が肝臓内のグリコーゲンとして蓄えられ、一部のブドウ糖は血液中に入りエネルギー源として使用される。
 
分解酵素であるアミラーゼは、生後すぐにはほとんど分泌されず3歳ごろにかけて徐々に増す。
母乳や人口乳の糖質は95%がラクトースであり、アミラーゼよりラクターゼの方が活性化している。
 
小児の炭水化物の必要量については特に明確な規定はなされていません。
蛋白質と脂質によるエネルギー量の不足を補うため、炭水化物のエネルギー比率は50~70%程度がおおよその目安。