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簡易懸濁法のKnack&Pitfalls

症例検討

「簡易懸濁法がうまくいかない、何故?」

症例

フィーディングチューブの患者に簡易懸濁法を行って、つまってしまったのは何故ですか?

6時にRp.1~4を電気ポットからの熱湯30mLで懸濁し、病棟の他の患者さんの検温に向かった。

7時にエンシュアⓇの投与があるため、6時50分に溶解液を確認。1錠溶解されていないものがあったため、乳棒で叩いて細かく砕いた。

その後、エンシュア・リキッドⓇの中に薬剤が懸濁された溶液も一緒に入れて投与を開始。

30分後、アラームが鳴り、フィーディングチューブが閉塞してしまったことが発覚。

Rp.1 タケプロン(ランソプラソール)OD15mgⓇ錠 1錠/朝食後

Rp.2 ノルバスク(ベシル酸アムロジピン)2.5mgⓇ錠 2錠/朝食後

Rp.3 酸化マグネシウムⓇ 3g/毎食後

Rp.4 セレキノン(マレイン酸トリメプチン)Ⓡ錠 3錠/毎食後

Rp.5  エンシュアリキッドⓇ 6缶/7時、13時、19時

Q1 投与内容…簡易懸濁法に適した薬剤?

<簡易懸濁法不適薬剤>

1.徐放剤

2.腸溶剤

3.不溶性薬剤‥酸化マグネシウム®→マグミット®錠に変更すれば粒子径が小さいため投与可能

4.難溶性薬剤‥セレキノン®→溶けないため粉砕投与する必要がある。

5.成分不安定薬剤

6. タケプロンOD ®錠→マグロゴール6000を含有する。マグロゴール6000は56~61℃で凝固してしまうため温度が高くなりすぎるとチューブに入る前に固まってしまうため凝固の原因となってしまう。

水で溶解すること。


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Q2 懸濁法に問題がない?

溶解温度は55℃が推奨されている。高温になると薬剤の安定性の面で問題となる。


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Q3 投与のタイミングは?


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Q4 カテーテルや器具の工夫は?


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簡易懸濁法とは、「薬剤を経管投与する際に、錠剤を粉砕するのではなく、55℃の微温湯で10分間崩壊・懸濁させて投与する」という画期的方法である。名古屋記念病院では、2005年に簡易懸濁法を導入して5年が経過し、その経験から以下のように簡易懸濁法の利点・欠点がまとめられる。

【利点】

・ 調剤時間の短縮と調剤業務の合理化、コスト削減

・ 粉砕しないことによるロスの解消と安定性の維持

・ 医療従事者や家族などの暴露の軽減

・ 医療従事者や家族が薬剤内容の確認が可能で、リスクマネジメントにつながる

・ 経管栄養チューブの閉塞の回避、より細径チューブの使用が可能

・ 経管投与可能薬品の増加 (錠剤・カプセル剤全1,003薬品中 粉砕法:694薬品(69%) 簡易懸濁法:850薬品(85%))

・ 中止・変更が容易で確実、一包化も簡便

【欠点】

・ 薬剤の安定性や配合変化などの情報不足

・ 適切な薬品選択

・ 看護師の業務量増加

・   微温湯の準備、必要物品の増加

これらの利点・欠点を十分理解した上での施行が望まれるが、ほとんどの行程を看護師が行うことから、担当薬剤師として日頃から良好なコミュニケーションをこころがけ、少しの疑問にも答える、または簡易なマニュアルがすぐに参照できる体制が重要である。


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