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コメディカル吸引マニュアル 2011年版

コメディカル吸引マニュアル(名古屋記念病院2011年版)

Ⅰ. 気管吸引の定義

1. 気管吸引の定義

 気管や鼻咽腔部、口腔内にある唾液や気道分泌物・血液・嘔吐物など自ら取り除くことのできない患者に対して、吸引カテーテルを挿入し直接除去する方法。

2. 気管吸引の目的

 気道内分泌物・血液・嘔吐物の除去

 換気の改善及び正常化、気管切開の回避

 呼吸仕事量や呼吸困難の軽減

 気道内圧の減少、咳嗽反射の誘発

Ⅱ. 気管吸引の準備

1. 気管吸引の適応

 気管内分泌物の吸引による低酸素血症や呼吸困難感等の患者の身体的・精神的苦痛の軽減が速やかに必要な場合

(1)適応となる患者

 1)気管切開、気管挿管などの人工気道を用いている患者

 2)上記以外で患者自身による効果的な気道内分泌物の喀出ができない場合

(2)適応となる状態

 患者自身の咳嗽、呼吸理学療法や加温加湿療法等の侵襲性の少ない方法を実施したにも関わらず気管内分泌物の喀出が困難であり、以下の所見で気管内分泌物が存在すると評価された場合

 1)努力性呼吸が強くなっている場合

呼吸仕事量の増加所見:呼吸数増加、浅速呼吸、陥没呼吸、呼吸補助筋活動の増加、呼気延長など

 2)視覚的にチューブ内等に気道内分泌物が確認される場合

 3)胸部聴診で気管から左右主気管支にかけて分泌物の存在を示唆する副雑音(断続性ラ音)が聴取、または呼吸音の低下や減弱が認められる場合

 4)胸部を触診し、ガスの移動に伴った振動が感じられる場合

 5)頻回名湿性咳嗽を認める場合

 6)誤嚥した場合

 7)上記の状態に加えて、動脈血ガスやSpO2にて低酸素血症の存在、人工呼吸器装着患者で気道内圧上昇や換気量低下、フロー曲線の動揺の存在が認められる場合

2. 気管吸引実施者の要件

必須要件:

・気道や肺、人工気道などに関しての解剖学的知識がある

・患者の病態についての知識がある

・適切な使用器具名称がわかり適切な手技が実施できる

・気管吸引の適応と制限を理解している

・胸部理学的所見などからアセスメントできる

・感染予防と危惧の消毒・滅菌について理解している

・侵襲性の少ない排痰法(呼吸理学療法など)の方法を知り実践できる

・合併症と、合併症が生じたときの対処法を知り実践できる

・人工呼吸器使用者に対しておこなう場合

人工呼吸器のアラーム機能と緊急避難的な操作法を理解している

望まれる要件:

・心肺蘇生法の適応を理解し実施できる

・心電図について一般的な理解がある

・人工呼吸器の一般的な使用方法を理解している

3. 気管吸引が身体に与える影響

l 患者に苦痛を与える

l 不整脈・徐脈

l 血圧変動(高血圧・低血圧)

l 低酸素血症・高炭酸ガス血症

l 気道粘膜の損傷・出血・肉芽形成

l 肺胞虚脱・無気肺

l 感染

4. 気管吸引の禁忌

※絶対的な禁忌はない

注意する状態

・低酸素血症

・出血傾向、気管内出血

・低心機能・心不全

・頭蓋内圧亢進状態

・気道の過敏性が亢進している状態、吸引刺激で気管支痙攣がおこりやすい状態

・吸引刺激により容易に不整脈が出やすい状態

・吸引刺激により病態悪化の可能性がる状態

・気管分泌物を介して重篤な感染症のおそれがある場合

5. アセスメント項目

 1)理学所見:

  視診:呼吸数、呼吸様式、胸郭の動き、皮膚の色、表情

  触診:胸郭の振動や拡張性

  聴診:副雑音の有無

 2)ガス交換所見:SpO2、動脈血ガス

 3)咳嗽:咳嗽反射の有無、咳嗽の強さ

 4)気道内分泌物:色、量、粘性、におい、出血の有無の確認

 5)人工呼吸器モニター:最高気道内圧の上昇、換気量の低下、フロー曲線の動揺

 6)循環動態:血圧、心拍数、心電図

 7)頭蓋内圧(ICP)

 8)主観的不快感:疼痛、呼吸数、呼吸困難感など

 9)出血傾向、口腔・鼻腔・気道出血

6. モニタリング項目

 ・ SpO2

 ・ チアノーゼの有無

 ・ 呼吸音(頸部・気管支音・肺胞音・気管支―肺胞音)

 ・ 呼吸数

 ・ 異常呼吸・胸郭の動き

 ・ 血圧

 ・ 心拍数

 ・ 心電図の変化

 ・ 精神機能・意識レベル

7. 気管吸引の必要物品

<人工気道に使用するもの>

・吸引器・接続チューブ

・適切な径の吸引カテーテル(気管チューブ内径mmの1/2×3 Fr)

  * 人工呼吸器使用中は可能な限り閉鎖式吸引システムの使用を推奨する

  * 滅菌済のカテーテルの使用を推奨する

・滅菌精製水または生理食塩水

・アルコール綿

・水道水の入ったコップ

・滅菌カップ

・パルスオキシメーター

・バッグバルブマスク(アンビューバッグ、ジャクソンリース)、酸素、心電図モニター

・ゴーグル、マスク、ビニールエプロン、未滅菌手袋

・擦り込み式アルコール消毒液

・滅菌手袋(開放式吸引)

・カフ圧計

画像をクリックすると大きくなります。

<口腔内・鼻腔内吸引>

 

Ⅲ. 気管吸引の実際

<人工気道(気管チューブ、気管カニューレ)>

a)開放式吸引の場合

①吸引の必要性をアセスメントし、患者状態を把握。可能な限り患者の酸素化を安定化させておく。

②患者へ説明。

③手洗い。

④カフ圧確認。

⑤滅菌手袋の着用(利き手は滅菌をキープ、非利き手は不潔)

⑥吸引圧の設定(非利き手)、確認。

 吸引圧は成人150mmHg(20kPa)、小児120mmHg(15kPa)

 必ず医師、看護師の指導のもとに設定する!

 * 高い圧で吸引すると、気道粘膜の損傷や低酸素血症、肺胞虚脱や無気肺を引き起こす可能性があり、注意を要する。

⑦カフ上部を先ず吸引する。

⑧吸引カテーテルと吸引器を接続。

 カテーテルを利き手で持ち、カテーテルを吸引管に接続する。

 * 吸引カテーテルが清潔容器に入っていない場合には、手袋を装着する前に、あらかじめ袋を開けて一部のカテーテルを出しておく。

⑨吸引カテーテルの先端5cmを利き手で持つ

⑩非利き手で気管チューブと人工呼吸器の回路を外す。

⑪吸引カテーテルを利き手で気管チューブ(カニューレ)に挿入する。

⑫利き手で持った吸引カテーテルをゆっくり愛護的に挿入し、適度な吸引圧にて吸引する。

⑬吸引圧をかけながら、ゆっくり吸引カテーテルを引き戻す。1回の吸引時間は15秒以内として、カテーテルを指先で回しながら吸引する。

⑭アルコール綿でカテーテルの外側を拭く。

⑮通水(滅菌水の吸引)。

 * 再吸引のタイミングは、呼吸循環動態の回復をまって行う。

⑯手袋を破棄し、吸引圧を下げる。

⑰人工呼吸器の設定を確認する。

 * 気管チューブの位置の再確認

   カフ圧の確認(一般的には20~30cmH2O)

⑱患者へ声かけを行い、再アセスメントを行う。

⑲手洗いの実施

b)閉鎖式吸引の場合

①吸引の必要性をアセスメントし、患者状態を把握。

 可能な限り患者の酸素化を安定化させておく。

②患者へ説明。

③手洗い。

④カフ圧確認。

⑤未滅菌手袋の着用。

⑥吸引圧の設定、確認。

 吸引圧は成人150mmHg(20kPa)、小児120mmHg(15kPa)

 必ず医師、看護師の指導のもとに設定する!

 * 高い圧で吸引すると、気道粘膜の損傷や低酸素血症、肺胞虚脱や無気肺を引き起こす可能性があり、注意を要する。

⑦カフ上部を先ず吸引する。

⑧閉鎖式吸引カテーテルの吸引コントロールバルブの接続キャップと吸引管を接続。

⑨吸引カテーテルを陰圧をかけずに気管チューブ内に愛護的に挿入する。

⑩吸引圧をかけながら(コントロールバルブを押しながら)、ゆっくり吸引カテーテルを引き戻す。1回の吸引時間は15秒以内として、カテーテルを指先で回しながら吸引する。

⑪吸引カテーテルの洗浄は、洗浄液注入ポートに10mL程度の洗浄液を注入して行う。カテーテルを定位置にもどさずに洗浄液を注入したり、急激に洗浄液を注入したり、吸引圧をかけなかった場合には、洗浄液が気管チューブ内に貯留するので注意が必要。

 * 再吸引のタイミングは、呼吸循環動態の回復をまって行う。

⑫コントロールバルブをロックし、接続キャップを閉める。

⑬手袋を破棄し、吸引圧を下げる。

⑭人工呼吸器の設定を確認する。

 * 気管チューブの位置の再確認

   カフ圧の確認(一般的には20~30cmH2O)

⑮患者へ声かけを行い、再アセスメントを行う。

⑯手洗いの実施

c)口腔内・鼻腔内の吸引

①吸引の必要性をアセスメントし、患者状態を把握。

 可能な限り患者の酸素化を安定化させておく。

②患者へ説明。

③手洗い。

④未滅菌手袋の着用。

⑤吸引圧の設定(非利き手)、確認。

 吸引圧は成人150mmHg(20kPa)、小児120mmHg(15kPa)

 必ず医師、看護師の指導のもとに設定する!

 * 高い圧で吸引すると、気道粘膜の損傷や低酸素血症、肺胞虚脱や無気肺を引き起こす可能性があり、注意を要する。

⑥吸引カテーテルと吸引器を接続。

⑦吸引カテーテルの先端5cmを持つ

⑧口腔内あるいは鼻腔内にゆっくり吸引カテーテルを挿入し、吸引する。

 口腔内は、嘔吐した際の誤嚥防止のために可能な限り顔を横に向けるか、大きく開口した状態、舌を前に突き出した状態で、深呼吸をしながら吸引する。

⑨鼻腔内は、吸引圧をかけない状態で、鉛筆を持つように吸引カテーテルを持ち、鼻腔底に添わせるようにしてやや下向きに挿入する。

 * 鼻出血、顔面の損傷、頭蓋低骨折がある、または疑われる場合には禁忌。

⑩吸引圧をかけながら、ゆっくり吸引カテーテルを引き戻す。1回の吸引時間は15秒以内として、カテーテルを指先で回しながら吸引する。

⑪アルコール綿でカテーテルの外側を拭く。

⑫通水(未滅菌水の吸引)。

 * 再吸引のタイミングは、呼吸循環動態の回復をまって行う。

⑬手袋を破棄し、吸引圧を下げる。

⑭患者へ声かけを行い、再アセスメントを行う。

⑮手洗いの実施

 

画像をクリックすると大きくなります。 コメディカル吸引プロトコルより引用 日本理学療法士協会

参考:  

1) コメディカル吸引プロトコル 日本理学療法士協会 2010年

2) 気管吸引のガイドライン 日本呼吸療法医学会 2007年

3) 呼吸療法テキスト 呼吸療法認定士認定医委員会 2005年

 

新しい人工呼吸管理指針:ABCDEバンドル

新しい人工呼吸患者管理指針:ABCDEバンドル 

Awakening and Breathing Coordination of daily sedation and ventilatior removal trials,

Choice of sedative or analgesic exposure, Delirium monitoring and management, Early mobility and Exercise

Pandharipande P. Critical Care 2010:14:157-159, 2010

Vasilevskis E E. CHEST 138:1224-1233, 2010

Morandi A. Curr Opin Crit Care 17:43-49, 2011

 

“人工呼吸器からの開放と早期離床” →ICUせん妄と衰弱の予防

AAwaken the Patient Daily : Sedation Cessation

毎日の鎮静覚醒トライアル

BBreathing : Daily Interruptions of Mechanical Ventilation

毎日の呼吸器離脱トライアル

CCoordination : Daily Awakening and Daily Breathing

            A+Bの毎日実践

   Choice of Sedation or Analgesic Exposure

鎮静・鎮痛剤の選択

DDelirium monitoring and management

せん妄のモニタリングとマネジマント

Early Mobility and Exercise

早期離床

 

具体例>

A: Spontaneous Awakening Trials (SATs) 

 ✓ 毎日の鎮静覚醒トライアルは、患者の意識障害の遷延、人口呼吸器装着期間の短縮(-2日間)、ICU滞在日数(-3.5日間)と

   合併症の減少およびコストの削減に有効。

 ✓ SATは、PTSDを含めて精神症状を増悪させなかった。

 ✓ SATは、自己抜管やVAPの発生は増加しなかった。

B: Spontaneous Breathing Trial (SBT) Tピース・トライアル

C: SATs and SBT

 ✓ 合併症の減少と入院期間の短縮(―4日間)、1年死亡率の減少(-14~32%)

C: 鎮静・鎮痛剤の選択

 ✓ プレセデックッス®(デクスメデトミジン)は、ドルミカム®などのベンゾジアゼピン系薬剤に比較してせん妄や昏睡の期間が少なく、

目標の意識レベルにコントロールしやすく、人工呼吸の装着期間も減少した。さらに敗血症患者の死亡率を有意に減少させた。プロポ

フォール®、セレネース®などの鎮静剤に比較しても、成績は良好であった。但し、有意に徐脈が合併するが、リバウンドとしての頻脈や

低血圧は有意に多くはなかった。

 ✓ 看護師が1対1で介入するセデーションなしが、最も早く人工呼吸から開放され、自己抜管や合併症にも差は認めなかった。

D:せん妄の評価とモニタリング、対応

 ✓ CAM-ICUによる評価(+RAAS)を用いることによって、主治医が判定するよりも人工呼吸器装着期間の短縮と合併症の軽減を達成。

E: 早期離床

 ✓ 早期離床を系統的に図ることは、ICU滞在期間、入院期間の短縮とせん妄の減少、機能予後の改善に有用。

参考:

1. 日本語版CAM-ICUの説明

ステップ1:RASSによる評価を行う。
 RASSが-4または-5の場合、評価を中止し、後で再評価しなさい。
 RASSが-4より上(-3~+4)の場合、以下のステップ2に進みなさい。
ステップ2:せん妄評価。
 所見1+所見2+所見3(または所見4)がそろえばせん妄と診断

所見1:精神状態変化の急性発症または変動性の経過 

+ 所見2:注意力欠如 

+ 所見3:無秩序な思考 または 所見4:意識レベルの変化

=せん妄

CAM-ICU 所見と種類
所見1. 急性発症または変動性の経過 ある なし
A.基準線からの精神状態の急性変化の根拠があるか? 

あるいは
B.(異常な)行動が過去24時間の間に変動したか? すなわち、移り変わる傾向があるか、あるいは、鎮静スケール(例えばRASS)、グラスゴーコーマスケール(GCS)または以前のせん妄評価の変動によって証明されるように、重症度が増減するか?

所見2. 注意力欠如 ある なし
注意力スクリーニングテストAttention Screening Examination(ASE)の聴覚か視覚のパートでスコア8点未満により示されるように、患者は注意力を集中させるのが困難だったか?
所見3. 無秩序な思考 ある なし
4つの質問のうちの2つ以上の誤った答えおよび/または指示に従うことができないことによって証明されるように無秩序あるいは首尾一貫しない思考の証拠があか?

質問(交互のセット Aとセット B):

セットA                                 セットB  
  1. 石は水に浮くか?                      1. 葉っぱは水に浮くか?              
  2. 魚は海にいるか?                     2. ゾウは海にいるか?
  3. 1グラムは、2グラムより重いか?            3. 2グラムは、1グラムより重いか?
  4. 釘を打つのにハンマーを使用してもよいか?     4. 木を切るのにハンマーを使用してもよよいか?
 

指示
1.評価者は、患者の前で評価者自身の2本の指を上げて見せ、同じことをするよう指示する。
2.今度は評価者自身の2本の指を下げた後、患者にもう片方の手で同じ事(2本の指を上げる事)をするよう指示する。

所見4.意識レベルの変化 ある なし
患者の意識レベルは清明以外の何か、例えば、用心深い、嗜眠性の、または昏迷であるか?
(例えば評価時にRASSの0 以外である)

意識明瞭 自発的に十分に周囲を認識する
用心深い/緊張状態 過度の警戒
嗜眠性の 傾眠傾向であるが、容易に目覚める事ができる、周囲のある要素には気付かない。または、軽く刺激すると十分に認識する。
昏迷 強く刺激した時に不完全に目覚める。または、力強く、繰り返し刺激した時のみ目覚め、刺激が中断するや否や昏迷患者は無反応の状態に戻る。
CAM-ICUの全体評価(所見1と所見2かつ所見3か所見4のいずれか): はい いいえ
         

*注意力スクリーニングテスト Attention Screening Examination(ASE)―聴覚テストと視覚テスト

A.聴覚(文字)ASE

指示:次のことを患者に言なさい、「今から私があなたに10の一連の数字を読んで聞かせます。あなたが数字1を聞いた時は常に、私の手を握りしめること

で示してください。」以下の10の数字を通常のトーン(ICUの雑音の中でも十分に聞こえる大きさ)で、1数字1秒の速度で読みなさい。2314571931

スコア:患者が数字1の時に手を握り締めた回数と患者が数字1以外の時に握り締めなかった回数の総和

B.視覚(絵)ASE

*以下のひとくくりの絵を見なさい(Packet AとPacket B: Packet=ひとくくりの組)*

ステップ1:5つの絵を見せる
指示:次のことを患者に言いなさい。「_______さん、今から私があなたのよく知っているものの絵を見せます。何の絵を見たか尋ねるので、注意深く見て、

各々の絵を記憶してください。」そしてPacket AまたはPacket B(繰り返し検査する場合は日替わりにする)のステップ1を見せる。ステップ1のPacket A

またはBのどちらか5つの絵をそれぞれ3秒間見せなさい。

ステップ2:10の絵を見せる
指示:次のことを患者に言いなさい。「今から私がいくつかの絵を見せます。そのいくつかは既にあなたが見たもので、いくつかは新しいものです。前に見

た絵であるかどうか、「はい」の場合には首をたてに振って(実際に示す)、「いいえ」の場合には首を横に振って(実際に示す)教えてください。」そこで、

どちらか(Packet AまたはBの先のステップ1で使った方のステップ2)の10の絵(5つは新しく、5つは繰り返し)をそれぞれ3秒間見せなさい。

スコア:このテストは、ステップ2の間、正しい「はい」または「いいえ」の答えの数をスコアとする。高齢患者への見え方を改善するために、絵を15cm×

25cmの大きさにカラー印刷し、ラミネート加工する。

注:眼鏡をかける患者の場合、視覚 ASEを試みる時、彼/彼女が眼鏡を掛けていることを確認しなさい。

人工呼吸中の鎮静のためのガイドライン 日本呼吸療法医学会 人工呼吸中の鎮静ガイドライン作成委員会より引用

2. RASS(Richmond Agitation-Sedation Scale)とその利用法
ステップ1:30秒間、患者を観察する。これ(視診のみ)によりスコア0~+4を判定する。
ステップ2
1)大声で名前を呼ぶか、開眼するように言う。
2)10秒以上アイ・コンタクトができなければ繰り返す。以上2項目(呼びかけ刺激)によりスコア-1~-3を判定する。
3)動きが見られなければ、肩を揺するか、胸骨を摩擦する。これ(身体刺激)によりスコア-4、-5を判定する。

スコア 用 語 説 明  
+4 好戦的な 明らかに好戦的な、暴力的な、スタッフに対する差し迫った危険   
+3 非常に興奮した チューブ類またはカテーテル類を自己抜去;攻撃的な  
+2 興奮した 頻繁な非意図的な運動、人工呼吸器ファイティング  
+1 落ち着きのない 不安で絶えずそわそわしている、しかし動きは攻撃的でも活発でもない  
0 意識清明な
落ち着いている
   
-1 傾眠状態 完全に清明ではないが、呼びかけに10秒以上の開眼及びアイ・コンタクトで応答する 呼びかけ 刺激
-2 軽い鎮静状態 呼びかけに10秒未満のアイ・コンタクトで応答  呼びかけ 刺激
-3 中等度鎮静 状態呼びかけに動きまたは開眼で応答するがアイ・コンタクトなし 呼びかけ 刺激
-4 深い鎮静状態 呼びかけに無反応、しかし、身体刺激で動きまたは開眼 身体刺激
-5 昏睡 呼びかけにも身体刺激にも無反応 身体刺激

人工呼吸中の鎮静のためのガイドライン 日本呼吸療法医学会 人工呼吸中の鎮静ガイドライン作成委員会より引用

3. SBT

SBT実施の判断

(1) 前提条件

1) 原疾患が治癒または改善傾向にある。

2) 気道分泌物の除去(咳、喀出など)が可能である。

(2) 開始基準

1) 酸素化が十分である:PEEP≦8cmH2O、PaO2/FIO2≧150mmHg。

2) 血行動態が安定している:HR≦140/分。循環作動薬が使用されていないか、少量のみ(ドパミン5μg/kg/min程度)。致死的な不整脈がない。心筋虚血のサインがない。

3) 意識状態が安定している:持続鎮静している場合、鎮静中断が問題なく行える。指示動作可能である。施設で用いている鎮静スコアで覚醒状態である。

4) 電解質・酸塩基平衡に異常がない:例重度の呼吸性/代謝性アシドーシス、カリウム値の異常がない。

SBTの進め方

(1) 人工呼吸中と同じ酸素濃度とする。

(2) 設定:下記のいずれか。

1) T ピース下での自発呼吸

2) 5cmH2O のPEEP +pressure support 5-7 cmH2O

(3) まず5分間観察する。ここで頻呼吸などの呼吸負荷による変化が見られることが多いので、この間は必ずベッドサイドで患者の状態を頻繁に観察し、問題があればSBTの

施行を中止する。

(4) 問題なければ、本試験に移行する:30~120分間観察する。

(5) 以下の条件を満たすときに合格と判断する。

1) バイタルサイン

① 呼吸数<35rpm

② SpO2≧90%

③ 高血圧・低血圧(収縮期圧:>180mmHg・<80mmHg)、頻脈・徐脈(>140/min <60/min、20%以上の変化)の出現がない。危険な不整脈の出現がない。

2) 患者のアセスメント

① 意識状態の変化:不穏状態の出現、不安の悪化がない。

② 循環不全のサイン:末梢の冷感、冷汗の出現がない。

③ 呼吸負荷のサイン:呼吸パターンの悪化、呼吸補助筋の使用、奇異呼吸の出現がない。

人工呼吸中の鎮静のためのガイドライン 日本呼吸療法医学会 人工呼吸中の鎮静ガイドライン作成委員会より引用

 

4. What’s New in the Patient Safety World  December 2010

The ABCDE Bundle

Despite this month’s column “Bad Bundle? Or Not?”, we still like bundles. And there is a new bundle being promoted, the “ABCDE bundle” (Vasilevskis 2010). This really focuses on prevention of two very common and very serious iatrogenic problems seen in our ICU’s: delirium and ICU-acquired weakness. The ABCDE acronym stands for “Awakening and Breathing Coordination”, “Delirium monitoring”, and “Exercise/Early mobility”.

ICU delirium and ICU-acquired weakness are associated with significant morbidity and mortality, excessive lengths of ICU and hospital stay, and excessive costs. Both are potentially preventable. The authors of the paper describe the risk factors and contributing factors for both complications and suggest the ABCDE bundle as a way to reduce the risk of patients developing either or both complications. The individual components of the bundle are well-accepted interventions in most ICU’s.

Awakening the patient daily is the first component. Daily sedation “vacations” are a key component of the IHI VAP Bundle and other bundles designed to prevent ventilator-associated pneumonia. Minimizing sedation also helps reduce the incidence of delirium in the intubated, mechanically-ventilated patient. We all recognize there is a tendency to oversedate ICU patients on ventilators. We even reported in our March 2010 What’s New in the Patient Safety World column “If Sedation Vacations Work, Why Not Eliminate Sedation All Together?” a study by a group of Danish clinical researchers (Strem 2010) who did a randomized controlled trial in which ICU patients on mechanical ventilation were randomized to receive either no sedation or daily interrupted sedation. They found that patients who received no sedation had significantly fewer days on ventilators, shorter ICU stays, and shorter total hospital LOS. There was no difference in accidental extubations or VAP, though more patients in the no sedation group had agitated delirium.

The B component Breathing refers to daily interruptions of mechanical ventilation. The authors stress that use of protocolized management by nonphysicians in the ICU have been shown to be safe and effective.

The C component is Coordination of daily awakening and daily breathing. Coordinating these two interventions has been shown to produce better outcomes than either intervention alone. The ABC trial (Awakening and Breathing Controlled trial) (Girard et al 2008), which we discussed in our June 23, 2009 Patient Safety Tip of the Week “More on Delirium in the ICU” was a multicenter prospective controlled trial that paired the use of spontaneous breathing trials (SBT’s) with spontaneous awakening trials (SAT’s) in comparison to a usual care group in mechanically ventilated ICU patients.

Results demonstrated patients in the intervention group had more ventilator-free days, shorter ICU and total hospital lengths of stay, and a 32% better survival at one year.

The D component, Delirium monitoring, has been the topic of many of our own columns. They discuss many of the validated tools, such as the CAM-ICU and the Intensive Care Delirium Screening Checklist, plus sedation scales like the Richmond Agitation-Sedation Score (RASS) and how these objective measures lead to reduction in complications.

The E component, Exercise/Early Mobility is based in multiple studies that have demonstrated early mobilization and early physical therapy contributing to improved outcomes in mechanically ventilated ICU patients.

They then go on to provide statistics about the relative frequency (actually infrequency is the better term!) each of these components is used in typical ICU care and gaps that exist between evidence-based principles and actual clinical care. Their section on using members of the entire ICU team, interdisciplinary care, and good communication are critical in developing a culture of safety in the ICU. They also note use of some of our other favorite tools, checklists and ICU daily goals, are helpful during implementation of the ABCDE bundle.

This is a very good paper posing use of a very logical bundle. Getting some actual outcome measurements after implementation of the full ABCDE bundle should further solidify more widespread use of this bundle. The paper also has excellent references to the individual components of the bundle.

References:

Eduard E. Vasilevskis EE, Ely EW,  Speroff T, et al. Reducing Iatrogenic Risks: ICU-Acquired Delirium and Weakness—Crossing the Quality Chasm. Chest 2010; 138: 1224-1233   November 2010

http://chestjournal.chestpubs.org/content/138/5/1224.abstract

Strem T, Martinussen T, Toft P. A protocol of no sedation for critically ill patients receiving mechanical ventilation: a randomised trial. The Lancet 2010; 375: 475 – 480

http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2809%2962072-9/abstract

Girard TD, Kress JP, Fuchs BD, et al. Efficacy and safety of a paired sedation and ventilator weaning protocol for mechanically ventilated patients in intensive care (Awakening and Breathing Controlled trial): a randomised controlled trial. The Lancet 2008; 371: 126 – 134, 12 January 2008

http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(08)60105-1/abstract