誰でもわかる、できる摂食嚥下障害マニュアル(東海摂食栄養フォーラム編)

Ⅰ. 誰でもわかる、できる摂食嚥下評価

1. 問診 

患者が無理なら、家族・介護者に確認。聖隷式嚥下質問表は、Aが一つでもあれば嚥下障害、Bが一つでもあれば疑い。

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食事中の異常 むせの増加、またはむせの減少
咳、咳ばらい、うがいをしているような声
水が鼻に抜ける、お茶や水分を飲まない
やわらかいものばかり食べる、こぼす
食事の時間がかかる、繰り返し嚥下をする
途中で疲れてやめてしまう
姿勢不良
いつまででも食物を含んでいる
一度に飲み込めないほど口に詰め込む
ペースが速い
食事に関心がない
食後の異常 口腔内の残渣、流涎、声が変わる、
胸やけ、胃液の逆流
その他の異常 咽・喉頭異常感、かすれ声
唾液を飲みこめない
つっかえ感
夜間の咳、痰の増量
体重減少
発熱、肺炎・気管支炎を繰り返す

2. 情報収集

1)主な症状

むせ:どういう食品でむせるか、食べはじめにむせるか、疲れるとむせるか

咳:食事中や食後の咳は多くないか、夜間の咳はないか

痰の性状、量:食物残渣はないか、食事を開始してから量は多くないか

喉頭異常感、食物残留感:部位はどこか

嚥下困難感:食物による差はあるか

声:食後に声の変化はないか、ガラガラ声ではないか

食欲低下:むせる、苦しいから食べないなど

食事内容の変化:飲み込み易いものだけを選んでいないか、食事の好みがかわったことはないか

食事時間の延長:口の中にいつまでも食べ物をため、なかなか飲み込まない

食べ方の変化:上を向いて食べる、汁物と交互に食べている、口からこぼれる

食事中の疲労:食事に伴う低酸素血症はないか

口腔内の汚れ:ひどい歯垢、食物残渣、口臭は口腔期の問題と関連があるか

体重減少、脱水、発熱:他の原因が不明なときは特に重要

誤嚥・窒息の既往

2)医師、看護師からの情報収集

・嚥下障害の原因となる疾患の確認(詳細はHP)

・発症経過月数:脳血管障害の場合0-3ヶ月

多発性脳梗塞の場合は発症1年以上経過しても要注意

・誤嚥性肺炎の既往・熱型

一度誤嚥性肺炎を起こしたものは反復して起こしやすい

・原因疾患を特定できないのに炎症反応値などが高いもの

・体重の増減…体重減少が継続しているもの

・服薬内容…抗てんかん薬・向精神薬・抗パーキンソン薬などは嚥下機能を低下させることもある(詳細はHP)

3)患者の観察

・呼吸状態:頻呼吸、無呼吸、努力様呼吸

・音声:ごろごろ・ゼロゼロ、ガラガラ声、声がれ

・会話明瞭度:1全てわかる(誤嚥率25%)

2時々わからない(誤嚥率30%)

3内容がわかっていればわかる(誤嚥率48%)

4時々わかる(誤嚥率50%)

5全くわからない(誤嚥率67%)

・精神機能:意識障害、発動性低下、注意障害の程度は?

・体幹・頸部の姿勢:安定しているか、前傾していかないか

・歯茎と頬の間や軟口蓋に食物がたまっていないか

・唾液嚥下時の咳・むせはないか

・流涎・頻回の排痰、自力排痰困難はないか

・頸部嚥下音聴診・肺野呼吸音聴取

3. 簡単な嚥下評価

(1)反復唾液飲みテスト(repetitive saliva swallowing test:RSST)

患者に空嚥下を反復してもらい、嚥下反射の随意的な惹起能力を評価するスクリーニング法。

口腔乾燥がある場合には湿潤させてから空嚥下をしてもらう。

評価 30秒間に3回以上:正常

2回以下:問題あり

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BRAIN 2013年第1号. 医学出版

 (2)改訂水飲みテスト(modified water swallow test:MWST)

3mlの冷水を口腔内に入れて嚥下してもらい、嚥下反射誘発の有無、むせ、呼吸の変化を評価する。3ml嚥下可能な場合には更に2回の嚥下運動を追加し評価する。

評価 判定不能:口から出す、無反応

1a:嚥下なし、むせなし、湿性嗄声or呼吸変化あり

1b:嚥下なし、むせあり

2 :嚥下あり、むせなし、呼吸変化あり

3a:嚥下あり、むせなし、湿性嗄声あり

3b:嚥下あり、むせあり

4 :嚥下あり、むせなし、湿性嗄声・呼吸変化なし

5 :4に加えて追加嚥下運動が30秒以内に2回可能

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BRAIN 2013年第1号. 医学出版

(3)フードテスト

ティースプーン1杯の(3~4g)のプリンなどを摂食、空嚥下の追加を指示30秒観察する。

評価 判定不能:口から出す、無反応

1a:嚥下なし、むせなし、湿性嗄声or呼吸変化あり

1b:嚥下なし、むせあり

2 :嚥下あり、むせなし、呼吸変化あり

3a:嚥下あり、むせなし、湿性嗄声あり

3b:嚥下あり、むせあり

3c:嚥下あり、むせあり、湿性嗄声なし、口腔内残留あり

4 :嚥下あり、むせなし、湿性嗄声なし、口腔内残留あり追加嚥下で残留消失

5 :嚥下あり、むせなし、湿性嗄声・呼吸変化なし、口腔内残留なし

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BRAIN 2013年第1号. 医学出版

(4)パルスオキシメーター

摂食場面でのモニターとして使用する

評価 90%以下or初期値より1分間の平均で3%低下⇒摂食中止

可能であれば、VEにて再評価も必要

困った時は、専門家に必ず相談すること

☆ 誤嚥性肺炎のチェックポイント

✓ 食事中・後に、SpO2 低下

✓     〃    呼吸数増加・頻脈

✓     〃    声がれがある

✓     〃    顔が紅潮する

発熱がある

異常に汗をかく

✓     〃    むせる、咳をする、痰が汚い

✓     〃    のどがゴロゴロいう

✓     〃    気管支狭窄音が聞こえる

✓ 食事後に、口腔内に食物残さがある、においがする

✓    〃   舌が栄養剤の色、口腔内の糖強陽性

✓ 食事時間が長くなる、食後がつかれる

✓ 食事をいやがる、食事量が減る、好みがかわる

✓ 原因不明の発熱を繰り返す

 

Ⅱ. 誰でもわかる、できる安全な食事介助 

1)姿勢の工夫

①30度リクライニング位

・食べ物の取り込み、送り込みに障害のある人では30度にすることで重力の利用ができ、気管が上で食道が後ろになることから誤嚥が起こりにくくなる。

②頸部前屈

・頚部が伸展していると咽頭と気道が直線になり、気道が開き誤嚥しやすくなる。頸部前屈すると咽頭と気道に角度がついて誤嚥しにくくなる。

・前頸筋群がリラックスし、嚥下筋の働きがスムーズになり嚥下に有利に働く。

・枕を二つし、頚部が伸展しないようにします。あごから胸まで3-4横指が入るくらいが目安。

2)水分の摂取

液体はさらっとし、まとまりが悪く、咽頭に流れるスピードが速いため、誤嚥しやすい。粘度(とろみ)によって、まとまりをよくし、咽頭に流れ込む速度をゆっくりとすることで、嚥下の準備ができ、タイミングが取りやすくなる。

増粘剤のリスク:増粘剤は、①商品によってとろみのつき方が違う、②溶かす温度や時間、溶解方法によって硬さが変化するため、適切で均一なとろみが重要となります。

適切な濃度:一般的には、スプーンですくって落としたときに、軽く糸を引く程度が適切とされています。

3)一口量

・水のみテストやVF検査などの状況である程度予測するが、食物形態で異なります。

・少量の方が誤嚥しにくいが、感覚低下のある方は少なすぎる量では嚥下反射が誘発されないことがあります。

スプーンの選択は、小さく、薄く、平たく、柄の長いスプーンが最適。持ちやすく、滑りにくいもの。大きなスプーンでは取り込みしにくく、誤嚥しやすいので、はじめは小さなスプーンで開始し、徐々に能力に合わせて大きなものに変えていきます。

4)摂取方法                                                                             

複数回嚥下:飲み込む力が弱くなっている場合、一口に一回の嚥下では処理できないため、一口について複数回飲み込む事を促し、残留を防ぐ。

交互嚥下:違う物性の物を交互に摂取し、残留を除去する。キザミのおかずを摂取後、トロミ茶を飲む。特にべたつきやぱさつきのあるものを摂食後にゼラチンゼリーを与えると、口腔残留や咽頭残留がクリアされる。水分がのめる患者は、適度に水分摂取をすすめる。

傾き嚥下:舌や咽頭の片側麻痺・機能不全の患者に、健側肩にクッションを入れるなどし、「健常側を下、麻痺側を上」にし、食塊が重力に引かれ、口腔内の健側を通るようにするとスムーズに安全に嚥下できる。

横向き嚥下:咽頭の片側麻痺、片側の輪状咽頭筋弛緩不全、喉頭の片側切除の患者に、頭部を回旋することにより患側の梨状窩が閉じ、相対的に健側の梨状窩がひろくなって食塊が健側に導かれ易くなる。

息こらえ嚥下:飲食物を口に入れたら,鼻から大きく息を吸って,しっかり息をこらえて,飲食物を飲み込み,咳払いをする,あるいは口から勢いよく息を吐き出す.意識的に息こらえをすることにより,嚥下動作直前から嚥下動作中に声門を閉鎖する.遅延の間も声門を閉鎖する.

奥舌の上へ食塊を入れる。

発声・咳払いを促す

5)食器の工夫

先ず、食器を置くマットは、食器が滑らないものを使用、または滑り止めのついた食器を使用。食器は、傾斜がついて片側が深く、皿の口に返しがついているものや、食事量がわかりやすい目盛りのあるものなどがあります。食器はできるだけ、白飯が認知しやすい濃い色の食器を用いることも、先行期の障害患者には有用です。

6)介助者の注意点

・患者と同じ目の高さで介助する(患者が見上げることで、頸部が後屈しないように)。

・患者の覚醒を十分確認する。

・患者に食事への準備・自覚するタイミングを十分にみはからう。

・食物が口にある間と嚥下直後は話しかけない。

・摂食のペースを守るために介助者もゆったりとした態度で接する。

・材料名・料理名などを知らせ食欲促進に努める。

・介助する人が統一した方法で行えるようにする(ベッドサイドに摂取方法を掲示するなど)。

・激しい咳やむせ、呼吸の変化があったときには一時食事を中止する。

・疲労の様子を見ながら摂食をすすめる(30分くらいが目安)。

・食後すぐは体を起こしておく(逆流を防ぐため)。

7)認知症患者の食事介助(特に誤嚥予防)

✓ 覚醒は良好か?

薬剤の副作用のチェック

環境、特に光環境の調節による覚醒の促し

コミュニケーションなどによる覚醒の促し

家族の訪問や介助などで覚醒の促し

睡眠・生活リズムの改善

✓ 体調不良や発熱はないか?疲れていないか?

✓ 食事であることが理解できているか?または、おなかがすいているか?

五感の活用

視覚…盛り付け、食器やテーブルクロスの色、「食べる」の文字、食べるイラスト、スタッフが一緒に食べる、スタッフのエプロン、マスコット、暖色系の使用

嗅覚…食欲をそそる香り

聴覚…揚げ物を上げる音、グラスの音など、心地よい音楽

味覚…濃い味

触覚…食材にふれる

好物の活用

記憶の継続性(なじみの食器やテーブル、いすなど)

✓ 気になるものが周りにないか?食事に集中できているか?

注意を引く盛り付け、色彩

食欲をそそる香り

好きな仲間、スタッフ

食事前のルーティン

✓ 口の中はきれいか?義歯は大丈夫か?

味覚障害、嗅覚障害はないか?

✓ 食事を嫌がっていないか?

かならず、一品は好物をいれる

思い出のある食事をとりいれる

✓ 食べる姿勢はできているか?

足底はしっかり床につける

テーブルは肘の高さ

頸部はやや前屈

膝関節は90度屈曲

イスとテーブルの距離が適度

✓ どれからたべていいかわからない

コース料理方式

ワンプレート方式

弁当箱の使用

✓ 食具(おはし、スプーンなど)の使い方がわからない

食具をいつも同じ場所におく

食具を手渡す

おにぎり、サンドイッチなど食具を使用しなくてもすむ食形態にする

✓ 食べるペースが違う人がいないか?

✓ 他人の食事を食べる、邪魔をする

✓ 詰め込み、過食はないか?

 

Ⅲ. 誰でもわかる、できる嚥下調整食

1.嚥下調整食づくりで注意が必要な食材(例)

付着性において

注意するもの

l   のり、わかめ、おぼろ昆布のように口の中やのどに張り付きやすいもの

l   葉もの野菜の葉の部分やきゅうりのうす切りなど

かたさにおいて

注意するもの

l   肉の塊、いか、たこ、干もの、ごぼう、セロリ、りんごなど噛む力が必要なもの
 

凝集性において

注意するもの

l   固ゆで卵や焼いた鮭のように、口の中でまとまりにくいもの

l   ふかし芋、クラッカー、パン、クッキーのように水分が少ないもの

l   トースト、たけのこ、せんべい、サブレ、かりんとうのように噛むと口の中でばらけやすいもの

 

2.嚥下調整食づくりで調理時のポイント

  1. 下処理の段階で、皮を厚くむく。隠し包丁を入れる。下茹でするなどの工夫が必要である。
  2. 油脂類を加えて口あたりをなめらかにする。
  3. 素材同士をつなぐ「つなぎ」を活用する。
  4. (例:卵、山芋、里芋、牛乳、マヨネーズ等)

3.調理法別のポイント(嚥下調整食4レベル)

 

煮物

l   食材を厚めにむき、一口大くらいの大きさに切って、多めの煮汁でしっかりとやわらかく煮る。

l   煮汁にとろみをつける。圧力鍋を利用する。

揚げもの l   天つゆに浸す。食材は下茹でしておき、フリッターや天ぷらなどにする。また、揚げてから蒸す、天つゆに浸すなどの工夫が必要である。
炒めもの l   食材は下茹でしておく。調理の最後にあんを絡める。
蒸しもの l   調理の最後にあんをかける。
和えもの l   食材はやわらかく茹でる。葉ものは小さく切って和え衣であえる。

l   白和え、マヨネーズ和え、練りごま和えなどなめらかに仕上がるものと和える。

酢の物 l   酸味が強すぎないように調整する。すりおろした食材と和えると食べやすい。

 

4.嚥下調整食を美味しく料理するポイント(嚥下調整食4レベル)

①穀類〔ご飯の場合〕のポイント

ご飯のかたさは,対象者の障害の程度や好みに合わせる。卵かけごはんや雑炊などは汁を十分に吸わせると食べやすい。ご飯が食べやすいように,のり佃煮,梅干など美味しく食べやすい一品を用意する。ゼラチン粥は,程よいかたさ,食塊が形成しやすく食べやすい。

材料〔一人分〕米 50g 水 110g 介護用ゼラチン〔伊那食品〕 0,,8g

作り方:・米は洗って炊飯器に水と入れて浸漬する。・炊く前に,介護用ゼラチンを入れて良く混ぜ、粥モードで炊く。・途中でかき混ぜないと,介護用ゼラチンが釜の下のほうに沈殿するので15分に1回程度かき混ぜる。

②肉料理のポイント

肉は,良質のたんぱく源であるが,肉料理は噛み切りにくく食べづらいため工夫が必要である。脂身が多いほど嚥下調整食としては,使用しやすい。ひき肉は二度引きしたものが使いやすい。下処理時には,筋を切り包丁でたたく。切れ目を細かく入れ一口大に入れる。たんぱく分解酵素を含む生姜,パイナップル,キゥーイなどに漬け込む。揚げ物は,揚げた後にたれやつゆに浸してやわらかくする。

③魚料理のポイント

魚は,良質のたんぱく源であり動脈硬化を予防する効果があるといわれているDHA,EPAを多く含む。むつ,めばる,ぶり,はまち,したびらめなどは加熱してもあまり固くならないため利用しやすい。焼き魚は,早くから塩をすると固くなるので調理の直前にふる。ホイル焼きは,下ゆでした野菜などと一緒に包んで蒸し焼きにするとしっとりと出来る。煮魚は煮汁を多めに作りとろみをつける。

④卵料理のポイント

卵は,栄養バランスの良い食品で,スフレオムレツ,スクランブルエッグ,温泉卵,だし巻き卵,具なし茶碗蒸しなどは嚥下調整食に利用しやすい。しかし,固ゆでした卵黄やいり卵は,パサパサしてポロポロしているので食べづらい。卵は,料理のつなぎとして料理自体をやわらかく仕上げるため使用頻度は高い。

⑤大豆・大豆製品のポイント

大豆製品の中でも,絹ごし豆腐,充填豆腐,ひき割り納豆などは利用しやすい食品である。高野豆腐の煮物は,煮汁と高野豆腐が口の中で分かれるため誤嚥しやすいので汁にとろみをつけるなどの工夫が必要。

⑥野菜料理のポイント

野菜は,ビタミン,ミネラル,食物繊維が多いため積極的に使用したい食品である。いも類,かぼちゃ,にんじん,大根,玉ねぎ,なす,白菜,プロッコリーなどは嚥下調整食に向くが,ごぼう,たけのこ,蓮根等はやわらかく茹でて細かく刻んでとろみをつけるかピューレ状にして利用。

⑦果物のポイント

バナナは,フォークなどでつぶしてヨーグルトなどで和える。いちごやキゥーイの小さな種が義歯に挟まりやすいので小さく切りつぶす。酸っぱいかんきつ類は,むせやすい。すいかは,口の中で果汁と果肉が口の中でばらばらになると誤嚥しやすい。ピューレ状にして利用する。

嚥下調整食は、通常の食材だけでは栄養量が不足する場合がある。効率的に栄養量が確保できる市販品や冷凍の弁当など多数販売されている。スーパー等での販売でなく通信販売が主流である。

ヘルシーネットワーク  http://www.healthynetwork.co.jp/

クリニコ アクトケア    http://www.clinico.co.jp/ec/

明治栄養ケア倶楽部     http://www.meiji.co.jp/meiji-eiyoucare/products/purpose.html

ミールタイム        http://www.mealtime.jp/shop/items/care

あいーと  http://www.ieat.jp/

 

Ⅳ. 誰でもわかる、できる口腔ケア、嚥下リハ

1)在宅でできる口腔ケア

口腔ケア前の準備、確認

1. 体調の確認と声かけ、必要物品の準備

2、バイタルサイン

3、体位の確認と設定

体位:嚥下障害がある場合、最も安全な体位。本人がリラックスできるような体位を選択。

体幹固定:クッションやタオルなどを利用して、できるだけ体との接触面積を大きくし安定を図る。

頭頚部の位置:頸部が後屈していないか、可及的に前屈が誤嚥のリスクを下げる。片麻痺の場合健側を下にする。

4、リラクゼーション

口腔のみでなく全身的なマッサージやリラクゼーションを施行し、緊張を緩和する。開口が難しい方などは事前にリラクゼーション、マッサージなどを行うことにより筋緊張がほぐれる場合もあります。アロマテラピーや音楽など患者さんのリラックスできる環境設定も効果があるときもあります。唾液腺のマッサージなどで口腔内の湿潤状態を作ることができます。

5、頸部聴診

6、保湿

①口腔ケア前の保湿剤塗布

特に口腔乾燥が著明で痂皮が固着している場合は口腔ケアを行う10分程度前に保湿剤を塗布しておくことで痂皮が除去が容易になる。口腔乾燥などで接触により出血したり、痂皮が多く除去が困難な場合は、事前の保湿が効果的です。

②口腔ケア後の保湿剤塗布

口腔内の保湿感を維持させるのが目的である。嚥下機能が低下した患者の場合には、次回の口腔ケア時に前回の口腔ケア後に塗布した保湿剤の除去が必要になる。

口腔ケアの実施

1、口腔ケア

視野の確保:開口器やアングルワイダーの使用や片方の手を頬部の展開などに用いる。

開口の維持:開口維持が難しい場合、開口器や開口棒、歯ブラシにガーゼを巻くなど工夫する。K-pointの刺激や口腔周囲のマッサージなども有効なこともある。

アセスメント:口腔内を観察し、う蝕や腫れ、カンジダなどの問題がないかチェックする。特に口蓋や奥舌に汚れが残存していないか確認する。

用具の取り扱いの基本:含嗽剤入りの水分などにつけてからよく水分をきって誤嚥させないように行う。保管時はよく洗浄し柄の部分を下にする。

動きの基本:必ず奥から手前に、小帯を避けて動かす。力を入れすぎない。順番を決めてケアしていない部分がないようにする。

器具使用の順番:くるリーナやガーゼ、スポンジブラシなど大まかな汚れを取る器具から開始。歯ブラシ、タフトブラシ、歯間ブラシ、フロスと小さな器具で細かいところをケアする。 汚れを回収するためにスポンジブラシなど大きめの器具を用いることもある。

歯ブラシによるケア:ペングリップで歯ブラシを持つ。歯に垂直に毛先を軽く当て振動させながら歯を一本一本丁寧に清掃する。歯周ポケットには歯ブラシを斜め45度に毛先を入れるようにして行う。

歯間ブラシやフロスによるケア:単独歯や歯の間が広い場合はタフトブラシや歯間ブラシを使用。歯の間が狭いところはフロスを用いる。しかし、やりすぎると歯肉を傷つける恐れがある。歯間ブラシは適度なサイズを選択することが重要で、歯肉に過度な圧力をかけず使用。歯間部に挿入し角度を変化させながら数回動かす。フロスは歯に沿わせるようにして軽く、数回程度引き上げる。充填物や詰め物が引っかかる時は無理に引っ張らず、横に引き抜く。

2、吸引、含嗽

ブラッシング等の施行により口腔内に細菌が散乱した状態にあるため、含嗽ができる人は十分に行ってもらう。できない人や嚥下障害がある場合は丁寧に汚れを拭き取ったり吸引により汚れを残さないようにする。口腔ケア時に吸引器を用いながら行ったり、吸引器付きの器具、ガーゼなどで水分の垂れ込みを防止する。咳嗽可能な場合は頻繁に咳嗽を行ってもらうことも重要。

3、義歯の清掃

流水下にて義歯ブラシ等を用いて滑りがなくなるまで清掃する。義歯は夜間洗浄後、水分につけて保管することが望ましい。ただし、咬合の関係で夜間用の義歯を装着しておく必要がある場合もある。義歯洗浄剤の使用は部分入れ歯や総義歯など義歯によって種類を選択する。全部床義歯用の洗浄剤を部分義歯に使用すると変色することもある。

4、口腔ケアの時間や程度

特に口腔ケアにかける時間に規定はない。綺麗になるまで行うことが重要。患者さんによっては体力的な問題から、完全にきれいにする前に疲労が見える場合もある。体調や体力、1日の活動の中のケアの時間を考慮しながら行う。

口腔ケア後の確認、評価、記録、報告、連絡

1、ケア後のバイタルサイン、頸部聴診など

2、説明、関係職種への連絡

2)在宅でできる嚥下・呼吸リハ

1.嚥下体操

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2.氷を用いた嚥下訓練、アイスマッサージ

小さめの氷を口に含み,溶けてきた水を飲み込んでもらう.氷の口腔内保持が困難な患者では,氷をガーゼで包んでデンタルフロスで縛って保持するなど,氷が咽頭に落ち込まないよう注意する必要がある。または、舌根部から咽頭後壁を凍らせた綿棒に水をつけて刺激し,その直後に空嚥下を促す.

3.頭部挙上訓練(シャキア・エクササイズ)

1) 挙上位の保持(等尺性運動):仰臥位で肩を床につけたまま,頭だけをつま先が見えるまでできるだけ高く上げる.「1 分間挙上位を保持した後,1 分間休む」.これを3 回繰り返す.

2) 反復挙上運動:同じく仰臥位で頭部の上げ下げ(up and down)を30 回連続して繰り返す.

1)2)を1 日3 回,6 週間続ける.なお,喉頭挙上筋群を徒手的に鍛える方法が杉浦らによって報告されている.これは,額に抵抗を加えつつ,頸部を前屈させる方法.

4.ブローイング訓練

コップに水を入れ,ストローでぶくぶくと泡が立つように吹く.うまく泡立たないときには指で鼻をふさいで介助し,徐々に介助を減らしていくとよい.さらに,ストローの太さや長さを変える,コップの水の粘度を変えるなどによって,難易度を調整する.ストローでコップの水を吹くかわりに,ろうそくの火や細く裂いたティッシュペーパーを吹いてもよい.

5.プッシング・プリング訓練

1. 壁や机を押す,肩からこぶしを振り下ろす等のプッシング動作を練習.

2. 動作とともに強い発声をする.

3. ある程度,響く声が出るようになったら,徐々に動作を減らしていく.

プッシング動作のかわりに,椅子の底面や肘掛けを引っ張ったり,両手を前でつないで外方へ引っ張るというプリング動作でもよい.上肢の運動麻痺や認知障害の状態によって使いわける.また,声を出さずに強い息止めだけを行う方法もある.

6.ハッフィング

効果:誤嚥物、痰の排出を促し、気道内を清浄化する。

方法:最大呼気から、声を出さずにできるだけ速く息をはく。

7.腹式呼吸、口すぼめ呼吸

効果:換気量、特に吸気量の増大。気道内圧を高める。鼻咽腔、口唇閉鎖機能の強化。

方法:吸気は鼻から行い、腹部を膨らませ、呼気は口からゆっくりとはき、腹部をへこませる。(吸気:呼気 1:2~5)お腹の上に手を置くと腹部の動きを感じ取れる。(横隔膜呼吸)手で軽く抵抗を加えると、呼吸筋力強化にもなる。口をすぼめてはく。(ろうそくの火を消すように)

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会による訓練法のまとめ(改訂2010)より引用