2011.03.29栄養学習会(脂肪肝、NASH)

脂肪肝

・脂肪肝(fatty liver)とは、肝臓に中性脂脂肪が蓄積した状態。

「肝臓内の(正常な肝臓の場合は4~5%程度の)中性脂肪が、10%以上になった状態」、また病理学的には、「顕微鏡による標本観察で、100個の肝細胞中に30%以上の脂肪空胞が認められる場合」とされる。

・脂肪肝は、国民の3人に1人が潜在的にかかっているといわれ、生活習慣病の一つ。最近は脂肪肝と診断される人が急速に増えており、成人男性の10%、女性の3%にみられる。

・原因は肥満、アルコール、糖尿病があり、最初の2つが原因の70%。

・アルコールによるアルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝(NAFLD:non-alcoholic fatty liver disease)に分けられる。

・NAFLDの原因である肥満、特に内臓脂肪型肥満では、インスリンに対する体の反応が悪くなったり(インスリン抵抗性)、各種のサイトカイン産生異常などが起こるため、脂肪酸の代謝調節機構に破綻を生じ、肝細胞内に過剰な脂肪の蓄積を生じるようになる。

・NAFLDに、(1)酸化ストレス(活性酸素による組織障害力)、(2)サイトカイン、(3)エンドトキシン(細菌の毒素)、(4)インスリン抵抗性などの要因が加わることにより脂肪肝に壊死・炎症、線維化を生非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:non-alcoholic steatohepatitis)が発症する。NAFLD全体の約10%がNASHになると言われる。従って、NAFLD患者の1%、国民全体の3%がNASH。さらにその約10%が肝硬変や肝臓がんを発症する。

・NASHの肝硬変予測因子は、高齢、高度の肥満、糖尿病、AST>ALT、血小板低値、肝機能低下、線維化マーカー(ヒアルロン酸、タイプⅣコラーゲンなど)上昇。

・わが国のNASHの患者数は欧米ほど多くはないが、食生活の欧米化や運動量の減少に伴い糖尿病、肥満患者の増加によって今後増加が見込まれる。

・低栄養よるに脂肪肝(栄養障害性脂肪肝): 肝臓で合成された中性脂肪は蛋白質と結合し「リポ蛋白」となって血液中に放出されるが、栄養不足で結合すべき蛋白質が不足すると中性脂肪が肝臓に蓄積し脂肪肝になる。

初期段階では自覚症状はほとんどない。健康診断などの肝機能検査で偶然見つかることがほとんどである。ただし、脂肪肝が進行した場合は、「疲れやすい・体がだるい・食欲がないといった、肝臓病の一般的症状があらわれることもある。

・血液検査では、ALT>ASTの肝機能異常(6ヶ月以上)を特徴とし、γ-GTP高値の場合はアルコール性の可能性が高くなる。ただし、約30%はALT正常とも言われている。コリンエステラーゼの上昇も特徴的とされる。必ずしも血清脂質の異常を伴うとは限らない。

・超音波検査では、肝のエコー強度が高い(腎臓に比較して輝度が高い、ギラギラしている、白っぽい)。肝臓内の脈管系の不明瞭化もきたすと、脂肪沈着30%以上とされる。CTでは、肝臓のCT値は低下し(黒っぽくなる)、高度脂肪肝になると脈管系が超音波と逆に明瞭になる。

栄養療法

 非アルコール性脂肪肝(NAFLD)

・標準体重あたり総カロリーは25~35kcal/kg/dayタンパク質は1.0~1.5g/kg/day 脂質はエネルギー比の20%以下を目安とし、肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧の改善を目す。

・早食い、間食、夜食は控える。ダイエットによる急激な体重減少は避ける。

・適度な運動をすることで内臓脂肪減少、インスリン抵抗性の改善に効果がある。

・食事と運動療法で1kg/1~2週間のペースの減量を目指す。

・薬物療法:

  インスリン抵抗性改善薬

     アクトス® ピオグリタゾン、メデット® メトホルミン 

  高脂血症治療剤

     ベザトールSR® フィブラート系、メバロチン® スタチン系

     エパデール® EPA

  ビタミンCE

  ウルソ® UDCA

  EPL® ポリエンホスファチジルコリン 

プレ・プロバイオティクス

アルコール性肝脂肪

・禁酒をする

・NAFLDと同様の食事療法とする。

・ビタミン欠乏、特にB1、B12に気をつける。

脂肪肝(栄養障害性脂肪肝)

・栄養素のバランスをとりながら、摂取エネルギーを増加する。

2011.03.29栄養学習会(脂肪肝、NASH)」への2件のフィードバック

  1.  栄養の不足と肝臓の病気には関係があるのか調べていて、こちらのサイトを見つけました。私は動物病院で保護したスズメの世話をしています。このスズメには換羽の遅れがみられましたが、原因が分からず困っていました。試行錯誤の末、食事に問題があって栄養が不足していたことが原因だろうと分かりました。
     飼い鳥には肥満や肝臓の病気が多くみられます。このスズメの世話を通して気づいたことは、飼い鳥の多くは必要な栄養を満たしていない食事を与えられているため、低栄養による脂肪肝が多くみられる可能性があります。しかし、日本では低栄養による脂肪肝はあまり話題されることはないため、飼い鳥についてこの病気が問題視される機会は少ないようで気がかりに思っています。
     ところで、私は国境なき医師団(MSF)の活動に関心があるのですが、MSFがアフリカで行っている子供の栄養失調の治療に訪れるお母さんは太っている人が多いことを疑問に思っていました。私が思いますには、これらの国では数種類の雑穀を主な食糧としているため母親たちも栄養が不足しているのではないでしょうか。栄養不良から空腹感を感じてたくさん食べてしまい、子供たちに与える食事が不足するのです。
     こちらのサイトを読ませていただき、たいへん勉強になりました。ありがとうございました。

  2. お返事遅くなりました。投稿ありがとうございます。発展途上国の方々の体幹肥満は、おっしゃる通りクワシオコ-ルに準じたタンパク質不足と脂肪沈着が原因と思われます。特徴は、筋肉がなく、あってもブヨブヨです。栄養不良の方々の適正な栄養補給が必要ですね。私たちにも何かできることがあればと思いますね。

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